ハッチンソン歯(読み)ハッチンソンし(英語表記)Hutchinson's teeth

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハッチンソン歯」の意味・わかりやすい解説

ハッチンソン歯
ハッチンソンし
Hutchinson's teeth

イギリス外科医 J.ハッチンソン (1828~1913) により記載された遅発性先天梅毒の3徴候の一つで,特徴的な歯の変化をさす。3徴候とは,ハッチンソン歯,角膜実質炎,内耳性難聴をいう。ハッチンソン歯は乳歯にみられることが少く,永久歯の上顎中切歯の切縁が半月状にくぼみ,歯冠はやや小さく,先端に向って細くなり,左右の角は丸みを帯びている。ただし,このような歯の形成異常は,他の原因でも認められることがある。

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世界大百科事典(旧版)内のハッチンソン歯の言及

【先天性梅毒】より

…症状は多彩であり,また症状の出る時期もさまざまであるが,早発型と遅発型に大別される。前者は乳児期に発症し,発熱,発疹,貧血,発育不良,パロー仮性麻痺などがみられ,また遅発型は幼児期以後に発症し,間質性角膜炎,迷路性聾,ハッチンソン歯(上前歯の変形)などがみられる。現在は妊婦検診で梅毒血清反応が行われることになっていて,診断・治療されるため,先天性梅毒は減った。…

※「ハッチンソン歯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」