ハッカ(薄荷)
ハッカ
Mentha arvensis var. piperascens; Japanese mint
シソ科の多年草。一名をメグサともいう。日本各地をはじめ,東アジアの冷温帯から暖温帯にかけて分布し,湿地に生え,長い地下茎を出す。茎は四角形で直立し,高さ 20~60cmぐらいになる。葉は対生し有柄,長さ3~8cmの長楕円形をなし,下面には油点,上面にはまばらな毛がある。8~10月頃,葉腋に短い柄のある淡紫色の花を多数つける。花冠は筒形の唇形花で,先端部は4裂し,おしべ4本は株によってめしべより長いものと短いものがある。全草に芳香があり,メントールの含有量が多く,香料,清涼剤,薬用などに用いられる。薄荷の原料植物として江戸時代末期から盛んに栽培されるようになった。特に北海道と岡山県で盛んに栽培され,第2次世界大戦前は日本の重要な輸出品でもあった。外国産のハッカは日本のものとは種が異なり,セイヨウハッカ M.×piperita,ミドリハッカ M.spicataが主である。セイヨウハッカはヨーロッパ原産で,ペパーミントとしてよく知られる。これは全株が無毛で,花は茎の頂端に穂状につくことで区別される。
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「ハッカ(薄荷)」の意味・わかりやすい解説
ハッカ(薄荷)【ハッカ】
広く日本に野生しまた栽培されるシソ科の多年草。葉は対生し楕円形,鋸歯(きょし)があり,特有の香気をもつ。夏〜秋,葉腋に淡紫色の小花を群生する。乾草を水蒸気蒸留しハッカ油を得,これからメントールを製造。セイヨウハッカ(ペパーミントとも)はこれに似るが,花は穂状に頂生する。メントール原料としては劣るが甘い香気があり,菓子などの香料に用いる。またミドリハッカ(スペアミントとも)は葉が大きくて緑色が濃く,メントールを含まないが強い香気があり,肉料理やチューインガムなどの香料に用いる。
→関連項目健胃薬|香辛料|ペパーミント|防臭剤
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ハッカ【ハッカ(薄荷) Japanese mint】
日本,朝鮮半島からシベリア地域の湿地に生えるシソ科の多年草(イラスト)。茎は四角形の断面で,草丈は60cmほどになり,葉をもむと特有の臭気がある。7~8月に葉腋(ようえき)に淡紫色の小さい花が小群になって咲く。日本特産の作物で,ニホンハッカとも呼ばれる。文化年間(1804‐18)に岡山で栽培が始まり,その後山形など各地で栽培された。現在の主産地は北海道の北見地方で,同地方で栽培が始まったのは1887年以降である。
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