ハスキル

百科事典マイペディア 「ハスキル」の意味・わかりやすい解説

ハスキル

ルーマニア生れの女性ピアノ奏者。生地ブカレストで学び7歳でウィーンにデビュー後,パリ音楽院でフォーレコルトーらに学び,のちベルリンでブゾーニ師事。1910年に本格的な演奏活動を開始し,1927年以降パリを拠点に活躍。イザイエエネスコカザルスなどと共演し,名声を高めた。1942年戦火を逃れてスイス移住,1949年市民権を取得。第2次世界大戦後はソロ活動の一方マルケビチ,グリュミオーらと協演し,その名をさらに高めた。モーツァルト,ベートーベン,シューマンなど,古典派ロマン派の音楽に気品に満ちた名演を残している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハスキル」の意味・わかりやすい解説

ハスキル
はすきる
Clara Haskil
(1895―1960)

ルーマニア出身のスイスの女流ピアノ奏者。ブクレシュティ生まれ。パリ音楽院でコルトー、フォーレなどに学び、卒業後さらにブゾーニにも師事した。イザイ、エネスコ、カザルスなどとの共演で名をあげ、ついで独奏者として頭角を現し、20世紀前半を代表する女流の1人となる。古典派・ロマン派を主たるレパートリーにしたが、とりわけモーツァルトは、馥郁(ふくいく)たる表現ゆえに高い評価を得た。晩年はバイオリン奏者グリュミオーと組んだ二重奏で奥行の深いモーツァルトを生み出した。

[岩井宏之]

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