ハイバル峠(読み)ハイバルとうげ

精選版 日本国語大辞典 「ハイバル峠」の意味・読み・例文・類語

ハイバル‐とうげ ‥たうげ【ハイバル峠】

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デジタル大辞泉 「ハイバル峠」の意味・読み・例文・類語

ハイバル‐とうげ〔‐たうげ〕【ハイバル峠】

Khyber Pass》⇒カイバル峠

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改訂新版 世界大百科事典 「ハイバル峠」の意味・わかりやすい解説

ハイバル[峠]
Khyber
Khaybar
Khaibar

パキスタン北西端,サフィド・コー山脈中にある峠。カイバル峠,カイバー峠とも呼ばれる。北西辺境州のペシャーワルアフガニスタンの首都カーブルとを結ぶ。パキスタン側の検問所ジャムルードからアフガニスタン側の検問所トルハムまで全長34kmあり,アジア・ハイウェーが走り,パキスタン側には鉄道も敷設されている。一帯は小灌木がまばらに生えるのみの峨々たる岩山で,所々に要塞や,第1次,第2次イギリス・アフガニスタン戦争時のイギリス軍の記念碑が点在する。イギリスは1879年のガンダマク条約により峠一帯の支配権を獲得し,現在の国境は1893年画定のデュランド・ラインに沿っている。当時のイギリスとアフガニスタンとの力関係を反映して,国境は峠を通る分水嶺ではなく,西麓のアフガニスタン側の平地に引かれている。国境の両側はパターン族の居住地域で,中間点の最高所ランディ・コータル(1055m)にはバーザールがあり,活発な交易が行われている。その東方16kmのアリー・マスジッドは,ムハンマドマホメット)の女婿で第4代正統カリフのアリーが祈りをささげた場所とされる。

 この峠は,歴史上,西および中央アジアからのインド亜大陸への門戸として重要な役割を果たしてきた。前1500年ころのアーリヤ人,前4世紀後半のアレクサンドロス大王,後11世紀前半のガズナ朝マフムード(北インドにおけるムスリム王権の開基者),16世紀前半のバーブルムガル帝国始祖)などは,ここを通ってインド亜大陸に入った征服勢力であった。同峠は仏教東漸の重要ルートの一つで,仏像も同峠を経て西から伝わったギリシア文化の影響の下に東麓のガンダーラ地方で初めてつくられた。また5世紀初めの法顕,7世紀前半の玄奘入竺に際しここを通っている。16世紀以来,海上交通の発達により貿易上の同峠の重要性は縮小したが,戦略的要衝としての意義は衰えていない。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ハイバル峠」の解説

ハイバル峠(ハイバルとうげ)
Khaybar[ペルシア],Khyber[英]

カイバル峠ともいう。パキスタン北西端の峠。パキスタンのペシャーワルとアフガニスタンのカーブルを結ぶ交通・戦略上の要衝。第2次アフガン戦争で1879年にイギリス領となり,それをパキスタンが継承。この峠は,古来,西アジア,中央アジアからインドへの門戸であり,前1500年頃のアーリヤ人をはじめ,アレクサンドロス大王ムガル帝国バーブルなどが,ここからインドに侵入した。ここを通って仏教が中央アジアへ伝えられ,法顕(ほっけん)玄奘(げんじょう)が天竺(てんじく)入りした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイバル峠」の意味・わかりやすい解説

ハイバル峠
はいばるとうげ

カイバー峠

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイバル峠」の意味・わかりやすい解説

ハイバル峠
ハイバルとうげ

カイバー峠」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のハイバル峠の言及

【峠】より

… 内外の著名な峠は,いずれも歴史的な意味をもつか眺望にすぐれているかであり,人文活動と山との目だった接点ともいえる。パキスタンとアフガニスタンの間のハイバル峠(1027m)はインドへの軍隊の通過点として古くから名高く,ブレンナー峠(1370m)はイタリア・オーストリア国境にあり第2次大戦中ドイツ,イタリアの首脳会談の場所ともなった。 峠となる山稜上の鞍部の地形的成因は一定していない。…

※「ハイバル峠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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