ノベンバーステップス(英語表記)November Steps

改訂新版 世界大百科事典 「ノベンバーステップス」の意味・わかりやすい解説

ノベンバー・ステップス
November Steps

武満徹による琵琶尺八オーケストラのための作品。1967年にニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の創立125周年のための委嘱作品として作曲され,同年11月9日,鶴田錦史の琵琶,横山勝也の尺八,小沢征爾指揮のニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団によって初演された。邦楽器とオーケストラという東西の楽器によるこの作品は,初演のときに大きな話題を集め,以後世界各地のオーケストラによってしばしば演奏されるようになった。おのおの別々の歴史を歩んできた尺八と琵琶という二つの楽器は,1966年の《エクリプス》とこの作品において初めて出会い,さらにこの邦楽器の二重奏は,ドビュッシーメシアンの影響のもとに作曲されたオーケストラと,融合したり衝突したりしながら,独特な音楽の時間と空間を生み出す。作曲者は,最初《水の輪》というタイトルをつけていた。全体は11の部分(段)から成立している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のノベンバーステップスの言及

【武満徹】より

…1959年に〈二十世紀音楽研究所〉の所員になり,ケージら欧米の前衛音楽の動向に注目しながら,室内楽,管弦楽曲の作曲を続け,また《砂の女》(1964)をはじめとする数多くの映画音楽も作曲した。67年ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の依嘱で作曲した《ノベンバー・ステップス》は,琵琶と尺八と管弦楽のための作品で,欧米と日本の音楽界に大きな衝撃を与えた。この作品の特質は,邦楽器とオーケストラを組み合わせた点ばかりでなく,音楽史上まったく別の道を歩んでいた琵琶と尺八の出会いを演出し,日本の伝統楽器の新しい可能性を開拓した点にある。…

※「ノベンバーステップス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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