ノダック(読み)のだっく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノダック」の意味・わかりやすい解説

ノダック
のだっく
Walter Karl Friedrich Noddack
(1893―1960)

ドイツ化学者。ベルリンに生まれる。ベルリン大学ネルンストに学び、1935年フライブルク大学教授、1941年ストラスブール大学光化学研究所長兼務、のちバンベルク大学で化学とくに地球化学を指導。1925年、後の妻タッケIda Tacke(1896―1978)と共同コルンブ石X線分光分析により75番元素を発見、レニウム命名。同時に発見を公表した43番元素マスリウムはその後確認されず、人工元素テクネチウムが43番元素とされる。彼は多くの鉱物を分析し、すべての鉱物はすべての元素を含むとする元素普存則を述べた。写真化学も研究した。

[道家達將]

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化学辞典 第2版 「ノダック」の解説

ノダック
ノダック
Noddack, Walter

ドイツの化学者.ベルリン大学で学び,1920年H.W. Nernst(ネルンスト)のもとで学位を取得.1920年ベルリンの物理工学研究所,1935年フライブルク大学,1941年シュトラスブルク大学,1946~1955年バンベルク(Bamberg)の哲学・神学カレッジ(現バンベルク大学)で教え,1955~1960年にバンベルク地球化学専門学校の校長を務めた.1925年にIda Tacke(1926年にNoddackと結婚)やO. Bergとともに,未発見元素である75番元素を発見して,ライン川にちなんでレニウムと命名した.同時に43番元素も発見したとして,マスリウム(masurium)と命名したが確認されず,のちにE. Segreらによって人工的に合成されてテクネチウムとなった.ほかに地球化学や光化学の研究がある.最近,日本の同時代の化学者小川正孝が1908年に発見したニッポニウムは,レニウムであったことが証明された.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノダック」の意味・わかりやすい解説

ノダック
Noddack, Walter Karl Friedrich

[生]1893.8.17. ベルリン
[没]1960.12.7. バンベルク
ドイツの化学者。ベルリン大学で化学,物理学数学を学んだ。 1920年,W.ネルンストのもとで学位を取得し,光化学研究所の所長を経て,フライブルク大学教授となり (1935) ,シュトラスブルク大学に移った (41) 。第2次世界大戦後は,バンベルク哲学・神学大学の化学教授をつとめた。 25年に,75番元素レニウム,および 43番元素マスリウム (→テクネチウム ) を発見した。 1600種の鉱物を調べて,すべての鉱物中にすべての元素が含まれると考えた。光化学反応についても多くの研究がある。

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