ネンジュモ(読み)ねんじゅも

改訂新版 世界大百科事典 「ネンジュモ」の意味・わかりやすい解説

ネンジュモ (念珠藻)
Nostoc

糸状ラン藻の1属で,細胞糸は異型細胞をもち,連鎖体やアキネート休眠胞子)をつくるなど,アナベナ属Anabaenaやキリンドロカルプス属Cylindrocarpusなどに似るが,細胞糸が共通の寒天状の基質の中に埋在して群体をつくることで区別される。種類数が多く,生育場所も山間渓流小川,温泉および庭先などいろいろである。食用となる種類も少なくなく,代表的なものに,加茂川苔(のり)や姉川くらげの俗称で呼ばれるカワタケN.verrucosum(L.)Vauch.,およびイシクラゲN.commune Vauch.,さらに中華料理で珍重されるハッサイ(髪菜)N.commune Vauch.var.flagelliforme(Berk.et Curt.)Born.et Flah.などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネンジュモ」の意味・わかりやすい解説

ネンジュモ
ねんじゅも / 念珠藻
[学] Nostoc

藍藻(らんそう)植物、ネンジュモ科の1属の総称。名の由来は、顕微鏡的な微小な細胞が数珠(じゅず)のようにつながることによるが、海産の緑藻類ジュズモChaetomorphaがあるので、区別してネンジュモとよばれる。数珠状の糸状体が多数耳たぶくらいの硬さの寒天質に包まれて、水中や湿土上に群塊をつくる。ネンジュモの1種カワタケN. verrucosum Vauch.はアシツキともよばれ、イシクラゲN. commune Vauch.とともに食用にされる。また、中国産の近縁種、髪菜(ファーツァイ)は食用・薬用として有名である。

小林 弘]

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百科事典マイペディア 「ネンジュモ」の意味・わかりやすい解説

ネンジュモ

ジュズモとも。ラン藻類ネンジュモ科ネンジュモ属の淡水藻の総称。球形単細胞個体がじゅず状に連なり,多数集まって寒天質に包まれ,暗緑色不定形の塊状となる。広く全世界に分布し,アシツキノリなど食用となるものもある。
→関連項目ジュズモ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネンジュモ」の意味・わかりやすい解説

ネンジュモ

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