日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネブカドネザル(1世)」の意味・わかりやすい解説
ネブカドネザル(1世)
ねぶかどねざる
Nabû-kudurri-uur Ⅰ
(?―前1103)
古代バビロニアの王(在位前1124~前1103)。この時期のバビロニアはイシン第二王朝期とよばれ、北方の中期アッシリア王国と東方のエラムに挟まれ、外患の絶えない時代であったが、王は逆にアッシリアを攻撃してメソポタミアを制圧し、二度にわたってエラムに遠征した。とりわけ戦車隊によるエラム遠征では華々しい成果を収め、数多くの戦利品をバビロニアにもたらした。そのなかには、エラムに奪われていたバビロニアの主神であるマルドゥクの神像が含まれており、この主神の「帰還」を契機に、バビロニアにおいてマルドゥク崇拝が復興した。このような王の事績は、王の碑文のみならず、文学化されて「ネブカドネザル1世叙事詩」として後代に伝えられもした。
[月本昭男]