ネフェルティティ(読み)ねふぇるてぃてぃ(英語表記)Nefertiti

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネフェルティティ」の意味・わかりやすい解説

ネフェルティティ
ねふぇるてぃてぃ
Nefertiti

生没年不詳。古代エジプト第18王朝の10代目の王イクナートン(アメンヘテプ4世)の妃。その名は「美女はきたりぬ」を意味する。王とは血縁関係(たぶん従妹(いとこ))にあった。王が即位とともに新宗教アトン信仰を唱えたとき、最初の熱烈な信者となった。その美しさは新宗教の布教に一つの役割を果たした。王との間に6人の王女をもうけた。このうち第2王女マケトアトンは夭逝(ようせい)し、第1王女メリトアトンはセメンクカラ王の妃となり、第3王女アンケセンパートンはツタンカートン(後のツタンカーメン)と結婚した。熱烈なアトン信者であったネフェルティティは、王が晩年テーベとの和解に乗り出したときこれに反対し、ために王妃の座を追われ、アマルナの北の宮殿に孤独の信仰の日々を送った。彼女は王よりあとまで生きたようである。ベルリンのエジプト博物館にある彼女の彩色胸像は彼女の美を伝えるものとして著名である。

[酒井傳六]


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改訂新版 世界大百科事典 「ネフェルティティ」の意味・わかりやすい解説

ネフェルティティ
Nefertiti

古代エジプト第18王朝第10代の王イクナートン在位,前1364ころ-前1347ころ)の妃。出身についてはミタンニ王女説とエジプト貴族の娘とする2説がある(近年では後者が有力)。夫王とともに熱心に太陽神アテンに帰依,〈宗教改革〉を推進する。王夫妻のこまやかな交流はアマルナ美術の好んで取りあげた主題だが,夫王の治世第12年を最後に姿を消した(失脚死亡かは不明)。西ベルリン,ダーレム美術館蔵の王妃の胸像は,とくに名高い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネフェルティティ」の意味・わかりやすい解説

ネフェルティティ
Nefertiti; Nefretete

古代エジプトの王妃。第 18王朝のイクナートン (在位前 1379~62) の妃。ミタンニの王女とも,エジプト貴族の娘ともいわれるが,出自は不明。ベルリン国立博物館所蔵のアケタートン (現テル・エル・アマルナ) で発見されたその美しい胸像が特に有名。6人の娘を産み,そのうち2人はエジプトの女王となった。夫とともにアトン神を崇拝したが,晩年は夫の寵を失って退いた。アマルナの北宮に彼女の遺品が発見されたので,そこに引退したものと思われる。墓は不明。

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デジタル大辞泉プラス 「ネフェルティティ」の解説

ネフェルティティ

トランペット奏者、マイルス・デイヴィスの1967年録音のジャズ・アルバム。コロムビア・レーベル。ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコックら1960年代に活動したマイルスの「黄金クインテット」による作品のひとつ。原題《Nefertiti》。

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