ヌマカイメン(読み)ぬまかいめん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌマカイメン」の意味・わかりやすい解説

ヌマカイメン
ぬまかいめん / 沼海綿
[学] Spongilla lacustris

海綿動物門尋常海綿綱タンスイカイメン科に属する水生動物。日本各地の湖沼にみられる。生時には共生緑藻のために鮮緑色を呈する。外形は薄い殻層状から樹枝状まで変化する。主大骨片(かん)状体であるが、大きくて表面が平滑なものと、小さくて表面が小棘(しょうきょく)で覆われるものと2種類ある。芽球(がきゅう)は直径400~800マイクロメートルの球形で、芽球口孔を一つもつ。芽球骨片は湾曲した有棘の桿状体である。人間に直接利用はされないが、わりあいに清浄な湖沼に生息するので汚染の指標動物になる。

[星野孝治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌマカイメン」の意味・わかりやすい解説

ヌマカイメン
Spongilla lacustris

海綿動物門尋常海綿綱単骨海綿目タンスイカイメン科。体は通常扁平であるが,ときに樹枝状,あるいは指状の突起をもったり,それらが合わさって網目状になったりしている。軟らかく,こわれやすい。骨片はケイ酸質で,さまざまな形をしていて,網目状の骨格をつくっている。生時は体内に藻類が共生しているため,鮮かな緑色を呈する。他のタンスイカイメンと同様,秋から冬に体内の各所に直径 0.4~0.8mmの芽球をつくり,これが翌春まで生き残って新しい海綿となる。世界各地の湖沼に広く分布する。

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世界大百科事典内のヌマカイメンの言及

【淡水カイメン(淡水海綿)】より

…この芽球が集まったものを〈フナの子〉とも呼ぶ。 ミュラーカイメンEphydatia muelleri,カワカイメンE.fluviatilis,ヌマカイメンSpongilla lacustrisなどがあり,1983年には横利根川より新属新種のSanidastra yokotonensisという種類が発見された。 カワカイメンは殻層状,または団塊状であるが,表面に大小の不規則な突起をだすものがある。…

※「ヌマカイメン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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