ニース(読み)にーす(英語表記)Nice

翻訳|Nice

精選版 日本国語大辞典 「ニース」の意味・読み・例文・類語

ニース

(Nice) フランス南東部、地中海に面するコート‐ダジュールの観光都市丘陵に囲まれた美しい海岸をもち、モナコ・カンヌと並ぶ保養・避寒地。

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デジタル大辞泉 「ニース」の意味・読み・例文・類語

ニース(Nice)

フランス南東部、地中海に臨む都市。コートダジュール海岸に面しており、カンヌとならぶ観光保養地。古代フェニキア人が植民地ニケとして建設。2021年、「リビエラの冬季行楽都市ニース」の名称で世界遺産文化遺産)に登録された。

ニース(niece)

めい配偶者の姪も指す。⇔ネヒュー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニース」の意味・わかりやすい解説

ニース
にーす
Nice

フランス南東部、アルプ・マリティーム県の県都で、地中海岸のコート・ダジュールを代表する観光都市。イタリア国境の西32キロメートル、アンジュ湾のパイヨン川河口に位置し、西側にはバール川が流入する。フランス第5の都市で、人口34万2738(1999)、34万2522(2015センサス)。背後に海岸アルプスを控えて風光明媚(めいび)なうえ、平均気温は1月7.5℃、7月22.7℃、年平均日照2778時間と気候温暖で、避暑・避寒地として最適。別荘、ホテル、庭園、カジノのほか、19世紀にこの地を保養地として開拓したイギリス人建設のアングレー遊歩道など、保養施設が整い、夏は海水浴、冬は海岸アルプスのウィンタースポーツの基地となる。交通も至便で、空港があり、港からはコルシカ島へ定期船が就航する。切り花、香水、オリーブ油、醸造などの伝統産業に加えて、家具・セメント工業も行われる。近年では機械・電気器具工業も発達するが、産業基盤は観光に支えられている。1963年開設の花市場も知られる。

 紀元前4世紀中ごろ、マッシリアMassilia(現マルセイユ)のフェニキア人植民市として開かれ、ニカイアNicaeaとよばれた。前154年ローマ人が占領、北部のケメネルムCemenelum(現ニース市内シミエCimiez)をこの地方の首都とした。後4世紀からは司教座が置かれたが、その後ゲルマン民族イスラム教徒の侵入を受けて破壊された。970年からはプロバンス伯領となって発展、1388年からはサボイア家領、1792~1814年はフランス領となったが、最終的には1860年フランス領となった。細く屈曲した通路の旧市街には、円形闘技場、浴場などの遺跡、古い教会などが残る。イタリア統一運動(リソルジメント)の立役者ガリバルディの生地で、彼を記念するガリバルディ広場がある。地域の文化中心地として大学や博物館も多い。さまざまな年中行事のうち、1873年創始の「ニースのカーニバル」は最大のもの。

[青木伸好]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニース」の意味・わかりやすい解説

ニース
Neath

イギリスウェールズ南部,ニースポートトールボット南西部の都市。ウェールズ語では Castell-nedd。カーディフの西北西約 50km,ブリストル海峡のスウォンジ湾に注ぐニース川の河口近くに位置する。75~80年頃ローマの要塞が築かれたところで,町は 12世紀にノルマン人が建設した城を中心に形成された。1584年地元の南ウェールズ炭田の石炭とコーンウォール地方から船で運ばれる銅鉱石を原料とする銅製錬が,1585年の工場建設により盛んになり町が発展し始め,やがて,スズ,鉛,銀などの製錬も盛んとなった。19~20世紀に南郊のブリトンフェリーに製鋼業が興ると,旧来の非鉄金属工業はしだいに衰えたが,鋼板を用いるブリキ工業などは依然として重要。第2次世界大戦後は大規模な石油化学工業も発達した。12世紀の城や修道院の遺跡がある。人口 4万5898(2001)。

ニース
Nice

古代名ニカイア Nikaia。フランス南東部,アルプマリティム県の県都。リグリア海にのぞむコートダジュールの観光・保養都市,商港。前 350年頃マルセイユ (古代名マッサリア) のギリシア人の植民都市として建設され,ローマ支配下でも交易港として繁栄。9世紀にサラセン人の侵略を受け,その後はプロバンス伯領を経てサボイア公の保護下で独立を保っていたが,たびたびフランス軍に占領された。 1814年にサルジニア領とされたが,60年にナポレオン3世とサルジニア王との協定でフランス領が確定。景色が美しく,気候も温和で,世界的な観光地として知られるようになった。有名なカーニバルもすでに 73年に始められている。海岸沿いの美しい遊歩道プロムナードデザングレ,多数の劇場や歌劇場,カジノなどのほか,博物館,美術館,大学やカトリック大聖堂 (17世紀) ,ロシア正教大聖堂,ギリシア正教聖堂などがある。また,商工業の一中心でもあり,オリーブ油,野菜,果物,花卉などの取引と,食品加工,醸造,香水製造業などが盛んである。南西郊にコートダジュール国際空港がある。人口 34万4875(2008)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ニース」の意味・わかりやすい解説

ニース
Nice

フランス南部,アルプ・マリティム県の県都。コート・ダジュールの国際的観光都市。人口34万3166(1999)。北にアルプスの山々を控え,地形上,南仏特有の強風(ミストラル)から守られ気候は温暖である。ギリシア人の植民都市ニカイアに由来する。長くサボア領で,1860年最終的にフランス領となった。18世紀末に外国人(特にイギリス人)の避寒地として発達,19世紀には多くの王侯貴族,文人が訪れた。第2次大戦後はバカンス客でにぎわう。
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百科事典マイペディア 「ニース」の意味・わかりやすい解説

ニース

フランス南東隅,アルプ・マリティーム県の県都。地中海岸の港市で,コート・ダジュールの中心をなし,国際的な観光保養地。カーニバルが有名。オリーブ油,織物などの製造,機械,電機・電子工業が行われる。地中海岸沿いのプロムナード・デ・ザングレ,マッセナ広場は有名。大学(新制は1965年創立)がある。起源はギリシアの植民市。ガリバルディの生地。34万7060人(2006)。
→関連項目プロバンス

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ニース」の解説

ニース
Nice

地中海に面しイタリアに近接するフランスの港市。保養地として有名。1388年サヴォイア家に帰属してからフランスとの争奪を繰り返す。プロンビエールの密約の結果,1860年以来フランス領となる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ニース」の解説

ニース
Nice

南フランスの避寒地
ナポレオン3世とのプロンビエール密約にもとづき,中部イタリア併合承認の代償として,1860年にサルデーニャからフランスに割譲された。

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