ニーグン

百科事典マイペディア 「ニーグン」の意味・わかりやすい解説

ニーグン

18世紀東欧に興ったユダヤ教の革新運動ハシディズムにみられる賛歌。男性によってのみ,独唱あるいは合唱で,神秘的な詩文のシラブルの上に無限のメリスマを用いながら,心のままに即興的に歌われる。その形式は,宗教的瞑想の六つの段階を順々に経て恍惚的なダンスで終わる。ニーグンの旋律は,実際にはウクライナポーランド踊りの曲や行進曲とユダヤ教会の祈祷文旋法のレチタティーボが混ざったもので,往々にしてシンコペーションを伴うスラブリズムで表現され,今日でも結婚式や聖日,祭日には必ず登場する。

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世界大百科事典(旧版)内のニーグンの言及

【ユダヤ音楽】より

…またそれと同時に,ユダヤ風の音楽作品も西洋音楽遺産のなかに加わった(M.ブルッフの《コル・ニドライ》,ブロッホの《ヘブライ狂詩曲シェロモ》など)。 アシュケナジムのうち東ヨーロッパ,とくにポーランドやウクライナのユダヤ人たちは,18世紀の半ばに,ユダヤ神秘主義(ハシディズム)を興し,それに伴って,スラブ風なニュアンスに富む即興の母音唱法によるリズミカルな民衆的宗教賛歌ニーグンNiggunとそのダンスを生み出した。また彼らは,ドイツ語とヘブライ語の混成言語イディッシュ語によるフォーク・ソングの世界をも開花させた(《ドナ・ドナ》など)。…

※「ニーグン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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