ニュー・ハンプシャー(読み)にゅーはんぷしゃー(英語表記)New Hampshire

翻訳|New Hampshire

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニュー・ハンプシャー」の意味・わかりやすい解説

ニュー・ハンプシャー
にゅーはんぷしゃー
New Hampshire

アメリカ合衆国北東部の州。独立13州の一つ。面積2万4097平方キロメートル、人口123万5786(2000)。州都コンコード。州名はイギリス南部の地名ハンプシャーに由来する。北境をカナダ、東境メーン州および大西洋、南境をマサチューセッツ州西境バーモント州と接し、西境をコネティカット川が流れる。高い山と海洋に接近する地形のため、気候は一部海岸地域を除いて多様で、短く涼しい夏に比べて冬は長く、雪の多い寒い日が続く。全土氷河作用を受け、1300を超える湖や池が点在しているほか、最高峰のワシントン山(1917メートル)など高い山や河川も多く、豊かな森と水に恵まれた美しい州の一つといえる。その反面、この豊富な水力を利用して古くから工業が発達し、現在は全米有数の工業州として知られている。古い伝統をもつ皮革、繊維、パルプと同時に近年は電子、機械、化学、金属工業などが盛んで、とくに南部のマサチューセッツ州境界域への進出が顕著である。工業に次いで重要な観光産業の成長も目覚ましい。州最大の湖ウィニペソーキー湖やホワイト山国有林など数多くの景勝地行楽地に加え、道路網、レクリエーション施設、諸設備の充実が図られており、全米の観光・行楽のメッカとなっている。1603年に初めてイギリスの探検隊が入り、23年に最初の町が建設された。それまでマサチューセッツ植民地の一部であったのが、1679年に単独で植民地を形成、1776年には13州のトップを切ってイギリスからの独立宣言を行った。強力な北軍支援に回った南北戦争後、工業が急速に発達し、現在の工業州としての基礎を築いた。主要都市としてはマンチェスター、ナシュア、コンコード、ポーツマスなどがあげられる。

[作野和世]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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