ニュー・ジャージー(読み)にゅーじゃーじー(英語表記)New Jersey

翻訳|New Jersey

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニュー・ジャージー」の意味・わかりやすい解説

ニュー・ジャージー
にゅーじゃーじー
New Jersey

アメリカ合衆国東部、大西洋岸の州。独立13州の一つ。面積2万0295平方キロメートル、人口841万4350(2000国勢調査速報値)。州都トレントン。北と東の一部をニューヨーク州、西をペンシルベニア州南西デラウェア州と接する以外は大西洋に面し、南西境をデラウェア川北東をハドソン川が流れる。地形は、北西部が最高海抜(550メートル)を示すアパラチア谷、北東から南西にかけての平均海抜300メートルのアパラチア高地と、それに続くピードモント台地、そして南東部の海岸平野は州土の5分の3を占める。北端部と南端部では気候に大きな差があるが、全体としては比較的温和な気候といえる。ニューヨークとフィラデルフィアという2大都市圏に近接する地の利を得て、もっとも交通・輸送網の発達した要地の一つに数えられ、また合衆国でもっとも人口密度の高い州である。これらの条件と豊かな水力が、同州を合衆国有数の工業州に育て上げており、ニューアーク、ジャージー・シティ、パターソンエリザベス、パセイック、トレントン各市が集まるハドソン川からデラウェア川に至る地域を中心に、州内のあらゆる地域で多種工業が発達する。医薬品、電子機器、電気機器がその代表であり、金属、衣料、食品なども盛ん。また、美しい海岸線、湖、川、森など豊かな自然景観に加え、合衆国の重要な史跡が数多く残されており、観光業は工業に次ぐ重要産業である。園芸野菜を中心とした農業も古くからの産業として重要で、トマト、ブルーベリークランベリーアスパラガストウモロコシがとれ、牧畜も見逃せない。

 1524年イタリアのG・ベラザーノが白人として初めてこの地を探検し、1620~30年代になると、北東部でオランダ人の、デラウェア川沿岸でスウェーデン人の定住が始まる。55年にはスウェーデン植民地はニュー・ネザーランド植民地に併合され、イギリス直轄領となる1702年までオランダとイギリスの間で抗争が続いた。独立戦争では、ニューヨークとフィラデルフィアの間に位置したために、100以上もの激戦が繰り返された。南北戦争後50年間に急速な経済発展がおこり、とくに工業はこの時期に目覚ましい発達を遂げた。

 大西洋岸地域は観光・行楽のメッカとして有名である。合衆国を代表するプリンストン大学(1746創設)やラトガー大学(1766創設)を柱に、多くの民間・国立教育機関が集積し、自然・社会科学などの研究センターとしても大きな注目を集めている。また、第22・第24代大統領G・クリーブランド、政治家アーロン、バー、発明家トマス・エジソン、ジョン・スティーブンズ、物理学者アルバート・アインシュタイン、作家ノーマン・メイラーなど多くの著名人を生みまた育てたことでも知られる。

[作野和世]


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