ニホンジュウケツキュウチュウ(日本住血吸虫)(読み)ニホンジュウケツキュウチュウ

百科事典マイペディア の解説

ニホンジュウケツキュウチュウ(日本住血吸虫)【ニホンジュウケツキュウチュウ】

吸虫類に属する扁形動物。センチュウのように見える寄生虫。体長約2cm。ヒトでは門脈系血管内に寄生し,進行すると肝硬変を起こす。中間宿主がカタヤマガイ(ミヤイリガイ)で,これから出たケルカリアが水中で経皮感染する。東南アジアに広く分布し,日本ではかつて甲府盆地,筑後川流域,広島県片山地区(この吸虫による病気を片山病ともいう)に流行地があった。駆虫剤は有機アンチモン製剤,プラジクァンテルがある。
→関連項目片山病キュウチュウ(吸虫)ジュウケツキュウチュウ(住血吸虫)風土病

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世界大百科事典 第2版 の解説

ニホンジュウケツキュウチュウ【ニホンジュウケツキュウチュウ(日本住血吸虫) Schistosoma japonicum】

扁形動物吸虫綱住血吸虫科Schistosomatidaeに属する寄生虫。1904年桂田富士郎が山梨県大鎌田村(現,甲府市)で飼育されていたネコの門脈から1雄虫を発見したのが世界最初のものである。しかし,1973年,74年に発掘された中国の馬王堆漢墓から出土したミイラ(2100年前に死亡したと推定される貴婦人遺体であるという)の肝臓からこのキュウチュウの虫卵が発見されており,古くからこの寄生虫がアジア地域に蔓延まんえん)していたものと考えられる。

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世界大百科事典内のニホンジュウケツキュウチュウ(日本住血吸虫)の言及

【ジュウケツキュウチュウ(住血吸虫)】より

…扁形動物吸虫綱の住血吸虫科Schistosomatidaeに属する寄生虫の総称。ヒトを固有宿主とするもののなかで重要なものは,ニホンジュウケツキュウチュウSchistosoma japonicum,マンソンジュウケツキュウチュウS.mansoni,ビルハルツジュウケツキュウチュウS.haematobiumの3種である。いずれも雌雄異体である。…

【桂田富士郎】より

…当時岡山地方にまんえんしていたジストマ病が注目され,東京から山極勝三郎,井上善次郎が調査のため出張し,桂田も全力をあげ研究にとり組んだ。1904年ニホンジュウケツキュウチュウ(日本住血吸虫)を発見。藤浪鑑(ふじなみあきら)とともに同病の原因,本態,発生ならびに予防法の解明にあたり,経膚感染を証明した。…

【ジュウケツキュウチュウ(住血吸虫)】より

…扁形動物吸虫綱の住血吸虫科Schistosomatidaeに属する寄生虫の総称。ヒトを固有宿主とするもののなかで重要なものは,ニホンジュウケツキュウチュウSchistosoma japonicum,マンソンジュウケツキュウチュウS.mansoni,ビルハルツジュウケツキュウチュウS.haematobiumの3種である。いずれも雌雄異体である。…

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