ニッスル小体(読み)にっするしょうたい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニッスル小体」の意味・わかりやすい解説

ニッスル小体
にっするしょうたい

神経細胞の固定標本切片をチオニン、メチレンブルー、トルイジンブルーなどの塩基性色素で染めて光学顕微鏡で観察すると、神経細胞の原形質内に斑(はん)状に顆粒(かりゅう)群が染め出される。これをニッスル小体(ニッスル顆粒、ニッスル物質)とよぶ。ニッスルの名はドイツの神経科医ニッスルF. Nissl(1860―1919)によっている。脊髄(せきずい)前柱の灰白質中に存在する大形の運動性細胞のニッスル小体は大きな斑点状に分布するため、とくに虎斑(こはん)ともよばれる。ニッスル小体は粗面小胞体とリボゾームの集まりであり、神経細胞の生理状態あるいは病的状態で形状が変化し、ときには消失することもあるが、神経細胞の機能が回復すればふたたび出現する。このため、ニッスル小体の状態は神経細胞の機能状態を判断する指標となる。

[嶋井和世]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニッスル小体」の意味・わかりやすい解説

ニッスル小体
ニッスルしょうたい
Nissl's body

虎斑物質。神経細胞の原形質中にある好塩基性の顆粒体。神経組織をニッスル染色で見ると,ニューロン細胞質の中に青紫色の点状に染まるニッスル小体が現れる。核蛋白を含み,神経細胞の蛋白合成に重要な役割を果す。ドイツの神経学者 F.ニッスル (1860~1919) が発見した。

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