ニコラウス(英語表記)Nicolaus de Ultricuria

改訂新版 世界大百科事典 「ニコラウス」の意味・わかりやすい解説

ニコラウス(ミュラの)
Nicolaus

3世紀後半小アジアに生まれ,リュキアのミュラMyraの司教となった聖人生没年および生涯については不詳。11世紀に遺骸がイタリアのバーリに移されたところから,〈バーリのニコラウス〉ともいう。伝説には,貧しくて結婚できない3人の娘のために財布を投げ入れた話,荒れる海を鎮めて船乗りを救った話,誘拐されて桶に漬けられてあった子どもを蘇生させた話などの善行,奇跡が多い。祝日は12月6日で,古くは,その前夜に子どもたちに贈物を届けるとされていた。これがオランダを介してアメリカに伝わり,サンタ・クロースの伝説となった。船乗り,婦人,子ども,ロシアなどの守護聖人。美術作品では,東方では白い髭,西方では冠をつけた司教の姿をとり,伝説にちなんだ三つの財布(あるいは金の球),錨,船,3人の子どもの入った桶などを持物とする。
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ニコラウス(オートルクールの)
Nicolaus de Ultricuria
生没年:1300ころ-1350

フランスのスコラ神学者。フランス名Nicolas d'Autrecourt。パリ大学で哲学,神学を学んだが,1346年異端宣告を受け,バイエルンのルートウィヒ4世宮廷に逃れたと伝えられる。認識の感覚起源説と矛盾律とを武器に,アリストテレスおよびアベロエス学派の立場を批判し,そのおもな学説は論証的確実性を有せず,蓋然的であるにすぎないと主張した。しばしば伝えられるところに反して,彼は因果律そのものを否定したのではなく,その論証可能性を否定したにすぎない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のニコラウスの言及

【サンタ・クロース】より

…Santa Klausとも書く。4世紀に小アジアのミュラの司教であったニコラウスに由来し,聖ニコラウスを意味するオランダ語のSint KlaesまたはSinterklaasが英語でなまってサンタ・クロース(正しくはサンタ・クローズ)となった。ニコラウスの祝日(聖ニコラウスの日)は12月6日で,ヨーロッパ,とくにドイツ,スイス,オランダではその前夜は子どもが楽しみにする贈物の日である。…

※「ニコラウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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