ニコバル諸島民(読み)ニコバルしょとうみん(英語表記)Nicobarese

改訂新版 世界大百科事典 「ニコバル諸島民」の意味・わかりやすい解説

ニコバル諸島民 (ニコバルしょとうみん)
Nicobarese

インド領ニコバル諸島原住民。人口約1万4000(1961)。言語的にはすべてアウストロアジア語族に属し,6方言に分かれる。大ニコバル島奥地に住む半漂泊的なションペン族Shompenが,諸島最古の住民層をあらわすと考えられるが,近くのアンダマン諸島民同類ではない。ニコバル諸島民は比較的低身で,褐色の皮膚をもち,短頭(ションペンは中頭)である。ココヤシとパンダヌスがおもな作物で,ヤムイモも作る。豚と鶏を家畜として飼い祭宴のときに食べる。海岸に定住集落を営み,漁労が重要で,片側に浮木のついた丸木舟を用いる。家屋は大きな高床の円形蜂の巣状のもので,そのなかに一個の非単系血縁集団が居住する。集落が政治単位であり,集落内で最も古い血縁集団の長が集落の長でもある。カール・ニコバル島民は天地創造の神を信じ,中央ニコバルでは死者に対して10回以上も追悼祭が行われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニコバル諸島民」の意味・わかりやすい解説

ニコバル諸島民
ニコバルしょとうみん
Nicobarese

ベンガル湾の 19島から成るこの諸島のうち,12島に居住する住民。在来の住民とマレー人,ビルマ人,南インド人との混血で,地域ごとに異なるオーストロアジア語族系の言語を話す。人口の大半は最北のカルニコバル島に住む。やしの実交易マレー半島などと行い,諸島内の島々の間ではカヌー陶器の交易が行われる。最南のグレートニコバル島の奥地に住むショム・ペン族は,狩猟でとらえたいのししを飼育し,供犠獣とする慣習をもつ。

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