ニオイヒバ(読み)においひば

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニオイヒバ」の意味・わかりやすい解説

ニオイヒバ
においひば
[学] Thuja occidentalis L.

ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の常緑高木。大きいものは高さ30メートル、径1.5メートルに達する。板根が著しい。樹皮は赤褐色、老樹では浅く長く剥離(はくり)する。葉は鱗片(りんぺん)状の卵形で鋭くとがり、下面は青緑色。葉肉に精油を含み芳香がある。雌雄同株。球果は長楕円(ちょうだえん)形で長さ0.8~1センチメートル、9~10月、褐色に熟す。果鱗は4~5対、そのうち2~3対に種子が2個ずつある。種子は褐色で翼がある。北アメリカ北部原産で、造園樹、生け垣、見本樹として植栽され、東北地方や北海道でよく育つ。材は軽軟でもろいが耐久力は強く、光沢美があって芳香もあり、建築、土木船舶のほか器具などに利用される。葉から精油をとり薬用とする。

[林 弥栄 2018年6月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニオイヒバ」の意味・わかりやすい解説

ニオイヒバ
Thuja occidentalis; arborvitae

ヒノキ科の常緑高木。北アメリカ東部の原産。原産地では幹の高さ 20m,径 60cmにもなるが,園芸品種も多く庭園などで栽植されるものは低木状である。枝葉一種の芳香があり,ここからニオイヒバの名がある。樹皮は淡黄ないし褐色,ところどころ薄くはげる。枝は密生し水平に伸びる。葉は鱗片状で主枝には粗に,小枝には密につく。球果は長楕円形で長さ約 1cm。挿木や実生でよく繁殖するので生垣としてよく植えられる。

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世界大百科事典(旧版)内のニオイヒバの言及

【アスナロ(翌檜)】より

…名の示す通り心材が渋みのあるねずみ色を呈するので,天井板や障子戸の腰板などに賞用される。アメリカ南東部には,背腹葉の腺体に芳香性の精油を含み,切るとよいにおいのするニオイヒバT.occidentalis L.(英名arborvitae)が分布する。西部のアメリカネズコT.plicata D.Don(英名giant arborvitae)は高さ60mの大木となり,材は米杉の名で輸入される。…

※「ニオイヒバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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