日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニオイアラセイトウ」の意味・わかりやすい解説
ニオイアラセイトウ
においあらせいとう
[学] Erysimum cheiri (L.) Crantz
Cheiranthus cheiri L.
アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の半耐冬性の二年草あるいは多年草であるが、普通は秋播(ま)き一年草として扱われる。一般にはケイランサスあるいはウォールフラワーwallflowerとよばれる。原産地は南ヨーロッパ。葉は長楕円(ちょうだえん)形のへら状で多数重なり、春4月に40センチメートル前後の花茎を伸ばし、菜の花に似た十字花を穂状につけ、快い芳香を放つ。花径は1センチメートルくらいで、黄色のほか、園芸種には橙(だいだい)色、赤褐色があり、花の大きな八重咲きもある。9月に種子を播いて育てるが、根が直根性なので植え替えはていねいに行う。乾燥地を好み、関東地方以南ではほとんど露地で越冬し、早春の花壇用としてふさわしい。花壇植えや鉢植えには丈の低い矮性(わいせい)種を、また切り花用には丈のよく伸びる高性種を使うとよい。
[伊藤秋夫 2020年11月13日]