ニェーボ(読み)にぇーぼ(英語表記)Ippolito Nievo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニェーボ」の意味・わかりやすい解説

ニェーボ
にぇーぼ
Ippolito Nievo
(1831―1861)

イタリアの小説家。青年時代に憂国熱情を抱いて、イタリアの統一に力を尽くした愛国者でもある。パドバに生まれた。1853年から文筆活動を始め、フリウリ地方の農民たちを素描した『田園短編集』(1856)などを発表した。代表作は没後刊行された『あるイタリア人の告白』(1867)であるが、これは57年から58年にかけて書かれたもの。主人公の知的成長とイタリアの統一の過程とを重ね合わせて描いた一種の歴史小説であるが、歴史と叙情を組み合わせた野心的な試みであり、マンゾーニの歴史小説とベルガの真実主義小説とを結び付ける、橋渡し的な役割を果たしている。

 1860年にガリバルディシチリア遠征に参加し、シチリアから帰還途中、船が暴風にあって沈没し、死亡した。

[竹山博英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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