日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ナッシュ(Paul Nash)
なっしゅ
Paul Nash
(1889―1946)
イギリスの画家。ロンドンに生まれる。スレード美術学校に学んだのち、1912年ニュー・イングリッシュ・アート・クラブで作品を発表し始める。第一次世界大戦中は従軍画家として活躍し、抽象化された画面に荒廃した自然の姿をとらえて注目を浴びた。33年には前衛的な芸術家の集団「ユニット・ワン」を結成している。28年に見たデ・キリコの作品に触発され、一時シュルレアリスムに関心を向け、36年の国際シュルレアリスム展にも参加したが、彼の自然に対する深い愛着は終生変わることなく、その後も先史時代のモノリスmonolith(一枚岩)などの立ち並ぶ幻想的な風景を描いている。彼の著作は死後、ハーバート・リードの手でまとめられ、『アウトライン』(1949)として出版された。ハンプシャーのボスコムで没した。
[谷田博行]
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