ナチシダ(読み)なちしだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナチシダ」の意味・わかりやすい解説

ナチシダ
なちしだ / 那智羊歯
[学] Pteris wallichiana Ag.

イノモトソウ科シダ。霜が降りない地方では常緑性である。太い根茎と葉柄の基部に褐色の薄い鱗片(りんぺん)をつけ、葉は大形で2メートルに達する。葉柄は上部で三つに分かれ、葉身はほぼ五角形となる。胞子嚢(のう)群は、葉縁が変形した偽(ぎ)包膜に包まれている。千葉県以西の暖地に生育し、伊豆半島河津七滝(かわづななだる)の一つの大滝(おおだる)に生えるナチシダ群落は、北限の一つとして国の天然記念物に指定されている。東南アジアとインドにも分布する。

[栗田子郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のナチシダの言及

【イノモトソウ】より

… この仲間は庭草などとして園芸に用いられるが,とくに羽片に沿って白い斑があるマツザカシダP.nipponica Shiehは栽培される。他の近縁種としては,世界的に広く分布し,日本でも紀伊半島までの暖帯に知られるようになったモエジマや背丈をこえる大型のナチシダなどがある。イノモトソウ属Pterisは世界に広く分布し,約300種が知られている。…

※「ナチシダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」