ナゴルノカラバフ問題(読み)ナゴルノカラバフもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナゴルノカラバフ問題」の意味・わかりやすい解説

ナゴルノカラバフ問題
ナゴルノカラバフもんだい

アゼルバイジャン南部のナゴルノカラバフ自治州アルメニアへの帰属問題。ロシア革命後の内戦期にアルメニアから分離・独立し,1923年にアゼルバイジャンに編入されたナゴルノカラバフ自治州は,住民の約4分の3がアルメニア人であるにもかかわらず,4分の1を占めるアゼルバイジャン人が指導的地位に立ち,また,アルメニア人がキリスト教分派であるアルメニア正教を信奉しているのに対して,アゼルバイジャン人がイスラム教徒であるなどの宗教問題もからんで,長らく対立が続いてきた。 1980年代末からはアルメニアへの帰属運動が顕在化し,民族間対立が一挙に噴出することとなった。なかでも 88年2月のアルメニアへの帰属替え要求に端を発した衝突以降,アルメニアの軍事介入により内戦状態となり,91年にはナゴルノカラバフ共和国として独立宣言をした。 93年ロシア,アメリカ,トルコの和平提案を受諾したが,その後も戦闘が続いた。 94年,ロシアの調停で全面停戦に合意した。その後,アゼルバイジャンのアリエフ,アルメニアのコチャリャン両大統領は問題解決のために首脳会談を行なっているがそれぞれ国内反対派の反発で合意に達していない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android