ナイチンゲール(鳥)(読み)ないちんげーる(英語表記)nightingale

翻訳|nightingale

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナイチンゲール(鳥)」の意味・わかりやすい解説

ナイチンゲール(鳥)
ないちんげーる
nightingale
[学] Luscinia megarhynchos

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。アフリカの地中海沿岸からイギリス南部まで、東はカザフスタンまで繁殖分布し、冬はアフリカ中部で過ごす。全長約16センチメートル、上面暗褐色、下面は灰色のじみな姿をしており、低地広葉樹林、茂ったやぶなどにすみ、地上か地上近くで行動しているので姿は目だたないが、昼夜とも美しい声で鳴くので知られ、ヨーロッパでは多くの文学や音楽作品に取り上げられている。詩などが邦訳されるときには、サヨナキドリ、ヨナキウグイスなどさまざまに訳されている。行動圏内の枝に巣をつくり、4、5卵を産み、雌だけが13~14日抱卵する。育雛(いくすう)は雌雄で行い、雛(ひな)は2週間ぐらいで巣立ちする。イギリスを除くヨーロッパ北部にはよく似たスラッシュナイチンゲール(別名キタサヨナキドリ)が繁殖分布している。

[竹下信雄]

民俗

ナイチンゲールは、ヨーロッパでは春の鳥として知られ、鳴き声が愛好された。ナイチンゲールの声をめでる人を主題にした物語も古くからあり、妻がナイチンゲールの声を聞くために夜起き出すので、嫉妬(しっと)した老騎士がその鳥を殺す話がある。夜も鳴くところに特徴があり、古代ギリシアでは、ナイチンゲールの肉を食べると、眠りの妨げになるといわれた。中世の物語では、ナイチンゲールはヘビを恐れて一晩中とげに胸を押し付けて目を覚ましているといい、鳴くのはその痛みのためであるという伝えもある。

[小島瓔

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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