精選版 日本国語大辞典 「ドーラン」の意味・読み・例文・類語
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メーキャップ化粧品の一種。英語ではグリース・ペイントgrease paintと呼ばれるもの。パリのドーランDorin社から,主として舞台化粧用として発売されていたもので,明治の末ころから日本にも輸入され,〈バトン・ドーランbâton dorin〉の商品名で売り出された。色は砥粉(とのこ)色,桜色,紅,紫,茶,薄黒,黒,光,影などと多彩で,棒状。無機顔料やレーキ(染付け顔料),体質顔料などを,ワセリン,ラノリン,固形パラフィン,蜜蠟,流動パラフィン,香料などといっしょに溶かし,練り合わせたもので,長時間舞台で汗をかいても化粧崩れしないという利点があった。スティック状ファウンデーションの原型であるが,現在は原料として脂肪酸エステルやスクワランなどを使い,使用感がよくなっている。一説に,ドイツのドーランDohran社のものが有名だったからともいわれているが,明確ではない。また第2次世界大戦以降も,スティック状ファウンデーションのことをドーランと呼んでいるが,ドーラン社製のものではない。
執筆者:高橋 雅夫
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