ドージェ(英語表記)doge

翻訳|doge

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドージェ」の意味・わかりやすい解説

ドージェ
doge

ベネチア共和国首長ラテン語 dux (指導者) に由来する。8~18世紀までドージェの職は存在したが,8~12世紀頃最も強い権限を有していた。しかしその職は世襲制のものではなく,また独裁的なものではなかった。 12世紀以降ダンドーロ家など有力貴族の支配するところとなり,いったん選出されたら終身職となった。ビザンチン帝国を侵略したエンリコ・ダンドーロ (在職 1192~1205) ,イタリア本土の征服に最初に乗出したフランチェスコ・フォスカーリ (在職 1423~57) らがドージェ職についた著名な人物としてあげられる。 1797年のナポレオン1世のベネチア征服とともにこの職は廃止された。ベネチアのドージェを模してジェノバ共和国でも 1339年に設置されたが,やはりナポレオン支配のときに廃止された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドージェ」の意味・わかりやすい解説

ドージェ
どーじぇ
doge イタリア語
dux ラテン語

「指導者」の意。イタリアのベネチア、ジェノバ両共和国の最高執政官後者前者模倣(1339年以後)なので、普通は前者をさす。ベネチアのドージェについては、697年に初出、742年以後連続して出現した。全市民集会で選出されたドージェは強大な権限を有したが、同集会を名目化した有力者層の評議会権力を集中したため、12世紀以後その権限はしだいに縮小した。ドージェはベネチア共和国の崩壊(1797)まで存続した。

[斉藤寛海]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android