ド・モルガン(読み)どもるがん(英語表記)Augustus De Morgan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ド・モルガン」の意味・わかりやすい解説

ド・モルガン
どもるがん
Augustus De Morgan
(1806―1871)

イギリスの数学者。インドマドゥライに生まれ、幼時に父を失い帰国ケンブリッジ大学でピーコックGeorge Peacock(1791―1858)に学び、1828年に新設のロンドン大学教授となった。数理論理学における「ド・モルガンの法則」で知られている。当時のイギリスは、ニュートン以来の伝統はありながら、初等数学において後れており、それを基礎づけて初等代数を確立する動きの中心となった。また、論理代数をブールとともに建設した。これらの初等的な代数演算の基礎づけが、19世紀後半のハミルトンケーリーによるイギリス派線形代数建設の土壌となり、それが現代代数学につながった。

[森 毅]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ド・モルガン」の意味・わかりやすい解説

ド・モルガン
De Morgan, Augustus

[生]1806.6.27. マドラス
[没]1871.3.18. ロンドン
イギリスの数学者,論理学者。ケンブリッジ大学に学び,1828年ロンドン大学の数学教授となる。 66年に辞職し,みずから数学協会を創設して初代会長となった。初期の著作に『算術原論』 (1830) があり,すでに数概念などの哲学的取扱いに手をつけている。おもな業績は,代数学の記号性に着目し,論理学の改革を行なったことで,ド・モルガンの法則がある。さらに「数学的帰納法」という概念を導入し,経験科学における帰納法と数学的証明におけるそれとの違いを強調した。また,数学記号の研究や複素数の幾何学的解釈に関する研究もある。

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