ドロップ
どろっぷ
drop
砂糖を主原料としたハードキャンディーの一種。一般に飴玉(あめだま)ともいう。ドロップは、固くてもろく、歯でかむと細かく割れるのが特徴である。イギリスでは、初め、砂糖煮にしたプラムを小さい球状にして砂糖をまぶしたものをドロップといっていたが、のちに砂糖だけでつくるようになった。
日本へ伝わったのは宝暦(ほうれき)年間(1751~1764)で、江戸の薬種商が「ズボウトウ」の名で売り出したのが最初といわれている。明治時代になり、しだいに国内でのドロップの製造も行われるようになってきたが、とくに1899年(明治32)ごろからは各製菓会社で盛んにつくられるようになり、一般に普及していった。
製法は、砂糖を少量の水で溶かし、さらに水飴を加えて煮つめる。この煮つめた飴に、着色料、香料、酒石酸(しゅせきさん)、クエン酸などを加えて混合、冷却し、一定の型に入れて成形する。
ドロップは砂糖だけでつくると、砂糖の結晶ができて製品が不透明となり、また貯蔵がききにくい。水飴を加えるのは、砂糖の結晶が出るのを防ぐとともに、製品に口あたりの滑らかさを与えるためである。ドロップでもっとも一般的なのは、果物の色や香りをつけたフルーツドロップである。このほか、黒砂糖、ハッカ、バター、ミルク、チョコレート、ハーブの味のものなどがある。
[河野友美・山口米子]
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ドロップ
〘名〙
① (drops) あめの一つ。砂糖にくだものの汁や香料などを加え、煮つめて作った小形のあめ。
※報知新聞‐明治三七年(1904)九月一四日「
キャンデーと云ふのは〈略〉麦粉を用ゐざる種類の
総称、
譬へばドロップス、バナナ、マシマロー、
ヌガー、バタカップなどで」
② (drop) (━する)
(イ) 野球で、
投手の
打者に対する
投球が打者の前で急に曲がり落ちること。また、その球。
※松蘿玉液(1896)〈
正岡子規〉七月二七日「外曲
(アウトカーブ)、内曲
(インカーブ)、
墜落(ドロップ)等種々あり」
(ロ) 学生用語で試験に落ちること。落第すること。
※
花祭(1962)〈
安岡章太郎〉「井上はどうした。ことしもドロップしたんじゃないだろうな…」
③ (drop) (━する) ある
事柄が取りあげられないでぬけおちること。
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デジタル大辞泉
「ドロップ」の意味・読み・例文・類語
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ドロップ
キャンディの一種。ふつう砂糖に水,水あめを加え高温(140〜160℃)で煮詰め,酒石酸,クエン酸,色素,香料等を加え,型に流して固まらせる。果実の味や形につくるのが一般的。
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ドロップ【drop】
ハードキャンディーの一種。砂糖・水あめを煮詰め、クエン酸や乳酸などで酸味を加え、果汁・香料などを加えて型に流し、冷まし固めて作る。果実の風味をつけることが多い。
出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報
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ドロップ【drop】
果実などの香味のあるハードキャンディ(水分の少ないあめ)。英語のドロップは〈しずく〉の意で,丸いキャンディを指し,sugar‐plumともいう。日本に伝来したのは宝暦年間(1751‐64)で,江戸の薬種商,大坂屋平吉がズボウトウの名で売り出した。大槻玄沢の《蘭説弁惑》(1799)は,〈すぼうとふ〉〈ずどうぼふ〉といわれているものは〈どろつぷ・すうと・ほうと〉あるいは単に〈どろつぷ〉だと説明している。
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世界大百科事典内のドロップの言及
【キャンディ】より
…(1)ハードキャンディ 砂糖と水あめを150~165℃に加熱濃縮させたもので,堅くてもろく,歯でかむと細かく割れる。代表的なものはドロップで,酸味料,香料,着色料などを加えて煮詰め,型に流して固める。これを引きあめにしてビロード状の光沢のあるサチネットをつくる。…
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