ドレーク海峡(読み)ドレークカイキョウ(英語表記)Drake Passage

デジタル大辞泉 「ドレーク海峡」の意味・読み・例文・類語

ドレーク‐かいきょう〔‐カイケフ〕【ドレーク海峡】

Drake Passage南アメリカ大陸の南端ホーン岬南極半島沖のサウスシェトランド諸島を隔てる海峡。幅約800キロメートル。英国の航海者フランシス=ドレークにちなむ。パナマ運河開通以前、太平洋大西洋を結ぶ重要な航路だった。西から東に向かって南極環流が流れる。世界で最も荒れる海域であり、絶叫する60度の俗称でよばれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡
ドレークかいきょう
Drake Passage

南アメリカ南端のフエゴ諸島と,南極半島の北約 150kmに連なるサウスシェトランド諸島の間に広がる幅約 800kmの海域で,西の太平洋と東の大西洋を結ぶ。中央部がやや浅いが,平均水深約 3400mの深い水域で,最深部は 5000mに達する。海底堆積物は南極大陸からの氷河砕屑物,生物性堆積物,南アメリカ大陸の浸食によって生じた土砂などから成り,南緯 58°付近には多数のマンガン団塊分布。表層部の平均水温は北部6℃,南部-1℃で,海面冬季に南部を中心に海氷におおわれ,氷山も出没する。偏西風帯にあって,海上では通常毎時 20~40kmの西風が吹き,時速 70km以上の強風が吹くことも珍しくない。 16世紀後半に活躍したイギリスの海賊 F.ドレークにちなんで命名されているが,この海峡を最初に通過したのは,オランダ人 W.スハウテンで,1615年のことであった。ドレークは 1578年,大西洋からフエゴ島北のマゼラン海峡を通って太平洋に出たが,嵐によりフエゴ諸島南端のホーン岬のあたりまで吹戻された。 19世紀および 20世紀初頭,パナマ運河開通 (1914) までは,世界貿易において重要な役割を果したが,強風と海氷のため,当時の船舶乗組員にとっては,この海峡の航行は常に大きな危険を伴った。大型タンカーの出現に伴って,パナマ運河が交通量を十分にさばききれなくなってきているため,今後再び重要な航路として見直される可能性もある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡 (ドレークかいきょう)
Drake Passage

南アメリカのホーン岬と南極半島の北にあるサウス・シェトランド諸島との間にあり,南太平洋と南大西洋のスコシア海とを結ぶ幅約800km,水深約3500mの海峡。イギリスの航海者F.ドレークの名に由来する。アザラシ猟や捕鯨のため昔からこの海峡に入った船は多いが,1930年代から科学調査が始まり現在でも続けられている。パナマ運河開通(1914)までは太平洋と大西洋を結ぶ重要な航路であった。海氷は真冬には海峡の約25%をおおうが,夏には南極半島先端部の海氷は消失する。このためサウス・シェトランド諸島や南極半島には各国の観測基地が多く,夏には観光船も現れ,航空機の往来もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡
どれーくかいきょう
Drake Passage

南アメリカ南端、ティエラ・デル・フエゴのホーン岬と南極半島沖のサウス・シェトランド諸島を隔てる幅約800キロメートルの海峡。1578年、イギリスの航海者ドレークが、南太平洋で暴風にあってホーン岬付近に漂着したのち大西洋に出たことから、この海峡の存在が初めて世に知られた。南太平洋側から南大西洋側へ向かう東向きの南極環流が流れている。冬季、海氷が海峡中央部の南緯60度付近まで張り出す。

[松本栄次]

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百科事典マイペディア 「ドレーク海峡」の意味・わかりやすい解説

ドレーク海峡【ドレークかいきょう】

南米大陸の南方,ホーン岬とサウス・シェトランド諸島の間の海峡。南太平洋と南大西洋(スコシア海)を結ぶ。英国の航海者F.ドレークの名にちなむ。パナマ運河開通までは重要な航路であった。

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