ドリル(英語表記)drill

翻訳|drill

精選版 日本国語大辞典 「ドリル」の意味・読み・例文・類語

ドリル

〘名〙 (drill 「錐(きり)」の意)
① 穴あけ用の工具の一つ。通常は刃物だけをいうが、回転動力部を含める場合もある。刃物は棒材に螺旋状の切刃と逃げ溝をつけたもので、先端を円錐状に研ぎ上げてある。〔電気工学ポケットブック(1928)〕
※崩解感覚(1948)〈野間宏〉二「各種のドリルや蒸気タービンが、置かれていて」
② (錐をもんで穴をあけていくように反復して身につけさせるということから) 学習法の一つ。重要な事項を反復練習によって指導すること。また、それに用いる教材。ドリルブック。
※春興倫敦子(1935)〈福原麟太郎ギリシャ語「私はM夫人にドリルされた半熟フランス語で」

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デジタル大辞泉 「ドリル」の意味・読み・例文・類語

ドリル(drill)

穴あけ工具の一。丸棒状の鋼材に螺旋らせん状の切り刃と逃げ溝をつけ、これを回転させて使用。ツイストドリル。ねじれきり
知識・技能を習得するための反復練習。また、反復練習による指導法。「ドリル学習」
[類語](1千枚通し/(2授業講義レッスンレクチャー

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改訂新版 世界大百科事典 「ドリル」の意味・わかりやすい解説

ドリル
drill

工作物に穴をあけるために用いられる切削工具。錐(きり)と同義であるが,錐という場合には木工用の大工道具を指すことが多い。正確かつ能率よく穴を加工するため,ドリルは特殊な形状をしているが,穴の底で削り出された切りくずが容易に排出されるように,ドリル本体に2本のねじれみぞを設けたツイストドリル(ねじれ錐)がもっとも一般的である。ドリルの先端は,ほぼ円錐状に作られ,ねじれみぞと円錐面との交線が2個の主切刃となり,中心部には短いチゼル切刃が形成される。主切刃の交差角は90~120度であり,工作物の材質によって変化させる。みぞのねじれ角は20~30度で,みぞの縁に沿って狭い帯状の部分(マージン)を残してある。この部分はすでに加工された穴の内面と接触し,ドリルがまっすぐに進む案内の役目を果たす。マージン以外の部分は少し細くして摩擦を少なくするが,さらに,ドリルの先端から遠ざかるにつれて外径を100mmにつき0.05~0.1mm程度細くする。これをバックテーパーという。したがって,ドリル先端の切刃の研ぎ直しを繰り返すと,ドリルで加工した穴はやや小さくなる。なお研ぎ直しをする場合,円錐面に12~15度の逃げ角をつける必要があるので,熟練した技能者でなければ手研ぎは困難であり,専用のドリル研削盤を使用することが多い。ドリルを保持するシャンクの部分は小径ドリルではまっすぐなストレートシャンクとし,ドリルチャックにくわえて使用する。大径ドリルではテーパーをつけ,ボール盤の主軸端のテーパー穴に直接か,またはスリーブソケットの補助具を用いて取り付ける。ドリルの材料は高速度鋼がふつうであるが,切刃に超硬合金チップを鑞付けしたものもある。ドリルには用途に応じて種々のものがあり,平錐は細穴用,すぐみぞドリルは軟質金属板用,深穴ドリルは銃身のように特別に深い穴をあけるのに用いられる。またセンタードリルは,旋盤や研削盤で,主軸と心押台の両センター間に工作物を支持する場合に,工作物にセンター穴をあけるのに用いられる。

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ドリル
drill
Papio leucophaeus

霊長目オナガザル科ヒヒ属の旧世界ザル。ドリルとマンドリルは,顔面に独特の隆起があることや尾がきわめて短いことなどから他のヒヒ類とは区別される。ドリルとマンドリルは,アフリカカメルーンからガボンにかけて広がる熱帯多雨林の西側一帯に分布しているが,カメルーン中央部を東西に流れるサナガ川をはさんでその北側にドリルが,南側にはマンドリルが生息している。マンドリルとの形態上の違いはおもに毛や皮膚の色で,とくにマンドリルが極彩色の奇怪な顔面をもつのに対して,ドリルは顔全体が真っ黒であり,体毛も褐色の単調な色彩である。森林に生息しているが,1日のほとんどの時間を地上で過ごす。果実食を中心に,花や葉などの植物性のもののほか,昆虫やクモなども食べる。頑健で耐寒性もあり飼育が容易であることから,動物園ではよく見かけるサルであるが,自然の生態や社会については,まだほとんど知られていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドリル」の意味・わかりやすい解説

ドリル
drill

きり (錐) ともいう。工作物に穴をあけるときに用いる切削用工具。通常はボール盤に取付け,回転させながら押込んで穴あけする。工作物の材質,形状,寸法などに応じて各種のものが製作されているが,大別すれば,ねじれぎり (ツイストドリル) ,平ぎり,特殊ぎりになる。ねじれぎりが最も一般的で,単にドリルといえばこの型をさす。このドリルは本体およびシャンク (柄) 部から成り,本体には複数のねじれ溝と,1対の切刃 (先端部) がある。ねじれ溝は切り屑の排出路の役目をする。ドリル材には,炭素工具鋼,合金工具鋼,高速度鋼,超硬合金が用いられるが,切削能力や寿命の点から高速度鋼が広く使用されている。

ドリル
Mandrillus leucophaeus; drill

霊長目オナガザル科。体形,大きさともマンドリルに似るが,顔に色彩のない (顔は黒色で裸出し,顔のまわりの毛は白色) 点で容易に区別される。普通,家族単位の小群で行動し,雄のリーダーに率いられる。雄は大きな犬歯をもち,気が荒く,ときにはヒトに向うこともある。雑食性。アフリカ西部の森林地帯に生息する。

ドリル
Delille, Jacques, abbé

[生]1738.6.22. エグベルス
[没]1813.5.1. パリ
フランスの詩人,神父。ウェルギリウスの『農耕詩』の韻文訳 (1769) で一躍有名になった。ほかに詩集『庭園』 Les Jardins (82) ,ミルトンの『失楽園』の翻訳などがある。

ドリル
drill

児童,生徒の機械的,要素的な能力を訓練発達させる反復練習。計算,書取り,手先の技能などを対象として行われる。

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世界大百科事典(旧版)内のドリルの言及

【種まき機】より

…広い面積への播種にはヘリコプターや飛行機による航空播種が行われる。条播機はドリルdrillとも呼ばれ,その構造は,種子を入れるホッパー,種子を送り出す繰出し装置,種子を地上まで誘導する種子導管,地上に一定の深さの溝を切る溝切り器,溝に落ちた種子にかぶせる覆土器,その上を押さえる鎮圧輪などよりなり,一連の作業工程を行う機械である。一定量の種子を正確に地面に配置するためには繰出し装置の精度を高める必要があり,さまざまのくふうがなされている。…

【ドリル】より

…工作物に穴をあけるために用いられる切削工具。錐(きり)と同義であるが,錐という場合には木工用の大工道具を指すことが多い。正確かつ能率よく穴を加工するため,ドリルは特殊な形状をしているが,穴の底で削り出された切りくずが容易に排出されるように,ドリル本体に2本のねじれみぞを設けたツイストドリル(ねじれ錐)がもっとも一般的である(図1)。ドリルの先端は,ほぼ円錐状に作られ,ねじれみぞと円錐面との交線が2個の主切刃となり,中心部には短いチゼル切刃が形成される。…

【ヒヒ(狒々)】より

…バブーンともいう。エチオピア,ソマリアからアラビア半島にかけてのサバンナに生息するマントヒヒ(イラスト),マントヒヒよりもさらに高地の,エチオピア高原の荒地に生息するゲラダヒヒ(イラスト),コンゴ民主共和国西部からナイジェリアにかけての熱帯降雨林に生息するマンドリル(イラスト)およびドリル(イラスト),サハラ以南の広大な地域に生息するサバンナヒヒの4群に大別される。このうち,サバンナヒヒはキイロヒヒ,ギニアヒヒ,チャクマヒヒ,ドグエラヒヒの4亜種からなるが,これらを独立した4種として扱う場合もある。…

※「ドリル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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