日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドリル(工具)」の意味・わかりやすい解説
ドリル(工具)
どりる
drill
工作物に穴をあけるための工具で、主としてボール盤に取り付けて使用される。ドリルを用いた穴あけ作業は、切削加工のなかでも占める割合が大きく約3割にも及ぶといわれている。
ドリルのなかでもっとも広く用いられているのはツイストドリル(ねじれ錐(ぎり))であるが、このほかにフラットドリル(平錐)、センター穴ドリル、ガンドリルなどがある。ツイストドリルは切刃をもつ本体とつかみしろとなるシャンク部からなり、シャンクにはテーパーのついたテーパーシャンクと円筒形状のストレートシャンクの2種がある。フラットドリルは古くから使用されていたが、すくい角をつけにくい、正確な穴を加工しにくい、切屑(くず)の排出がめんどうであるという理由で、あまり用いられなくなっている。センター穴ドリルは、工作物を各種工作機械のセンターで支持するときに必要なセンター穴の加工や、大径ドリルの食い付きをよくするための下穴の加工などに用いられる。ガンドリルは穴径の20倍以上の深穴を加工するときに用いられる。このほかに特殊ドリルとしてコアドリル、ドリルリーマ、段付きドリル、皿取りドリル、ジグボーラ用ドリル、ラチェットドリル、シェルドリル、三角ドリル、油穴付きドリル、BTA(Boring and Trepanning Associationの略で、この協会で開発された)工具など各種形状のものがある。
ドリルの材質としては高速度鋼が多用されているが、刃先を超硬合金製として交換式にしたものもある。
[清水伸二]