日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ドライヤー(デンマークの天文学者)
どらいやー
Johann Louis Emil Dreyer
(1852―1926)
デンマークの天文学者。コペンハーゲンで生まれ、コペンハーゲン大学で学ぶ。1874年、アイルランドのロス卿天文台の助手になり、おもにアイルランドで研究活動を行った。1878年ダブリン大学のダンシンク天文台に赴き、1882年にはアーマー天文台の台長になる。1882年博士号を取得。1875年に王立天文学会会員、1923年から1926年には同会長を務める。
ロス卿天文台の180センチメートル反射望遠鏡で星雲・星団を観測し始め、1877年に1000個以上の新しい星雲のデータを備えたアーマー目録を、そして1886年には3000個以上の新しい星雲のデータを備えた第二アーマー目録を提出した。さらに、1888年に7840個の星雲・星団を収録した星雲・星団新総目録New General Catalogue of Nebulae and Clusters of Starsを作成した。このカタログはNGC星表とよばれる。また、この目録の追補として1895年と1908年に追加目録(インデックスカタログIndex CatalogueまたはIC星表とよばれる)を作成し、総計1万3000個もの星雲・星団目録となっている。これらの目録は現在よく使われており、多くの星雲、星団はNGCやICの番号でよばれる。目録の業績以外には、天文学史の研究で知られ、ティコ・ブラーエやハーシェルの詳細な伝記を残している。
[編集部 2023年5月18日]