ドライアイス
どらいあいす
dry ice
二酸化炭素の固体。固体炭酸ともいう。二酸化炭素の気体(炭酸ガス)を冷却圧縮して液体とし、一部を蒸発させると、潜熱によって残部は雪片状の固体炭酸となる。これを加圧成形したものが市販のドライアイスである。固体炭酸の蒸気圧は零下73.5℃で1気圧であるが、蒸発熱が大きく(1モル当り87キロカロリー)、蒸発した二酸化炭素が固体の周りを包み込んでしまうので、すぐに蒸発(昇華)することはない。エーテルやアセトンに混ぜて用いると零下110℃の低温が得られる。
ドライアイスは液体を生じないので、冷凍剤としてたいへん便利で、食料品、果物などの貯蔵、輸送に適している。皮膚に触れると凍傷を生じることがあるので、手袋などをして扱う必要がある。
[守永健一]
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百科事典マイペディア
「ドライアイス」の意味・わかりやすい解説
ドライアイス
二酸化炭素を固体にしたもの。固体炭酸とも。通常,工業的には,コークスを燃焼させて発生したガス中の二酸化炭素を炭酸ナトリウム水溶液に吸収させて炭酸水素ナトリウムとした後,加熱して純粋な炭酸ガスを得,冷却・加圧して液化,次いでこれを小孔より噴出させて一部を気化することにより残りを冷却・固化し,得られた粉末を圧縮成形する。白色固体。液化せず,昇華して直接気体になり,−80℃くらいの低温が得られるので冷却剤として重用。直接肌に触れると凍傷をおこす危険がある。昇華によって発生した二酸化炭素蒸気は空気中の水蒸気を凝結させ,それが霧や雲のように見えるので演劇にも用いられる。
→関連項目二酸化炭素
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ドライ‐アイス
〘名〙 (dry ice) 固体二酸化炭素の別名。二酸化炭素ガス(炭酸ガス)を圧縮して得られた液体炭酸を、一部蒸発させると冷えてできる白色の固体。空気中で昇華してガスになる。
冷却材として広く用いられ、摂氏マイナス八〇度ぐらいまでの低温を得ることができる。
固形炭酸。固体炭酸。〔アルス新語辞典(1930)〕
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ドライアイス
dry ice
圧縮冷却して液化し,さらに固体とした二酸化炭素を圧縮し,塊状にして,冷凍剤として市場に出したものをいう。冷凍剤として用いた場合,液化することなく昇華し,約-70℃に近い低温が得られるため,少量で効果的に冷却の目的が達せられるという利点がある。
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ドライアイス
ドライアイス
dry ice
固体二酸化炭素粉末を加圧形成したもの.大気圧下では-78.5 ℃ が昇華温度であるから,冷却材として使っても液体を生じないのでドライアイスの名称がつけられた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
デジタル大辞泉
「ドライアイス」の意味・読み・例文・類語
ドライ‐アイス(dry ice)
固体の二酸化炭素。炭酸ガスを圧縮・液化し、冷却して固化させたもの。昇華するため液体にならない。冷却剤として使用。
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ドライアイス
二酸化炭素の固体.氷よりはるかに低温で,常圧で昇華することから,冷やすものを濡らさないので,便利に使われる.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
ドライアイス【dry ice】
固体の二酸化炭素CO2の俗称。気体の二酸化炭素を圧縮液化し,ノズルから噴出させると,断熱気化の際の潜熱により冷却され,その一部が雪状の粉末となる。これに少量の液体二酸化炭素を加えて圧縮して,固めてつくられる。大気下では-78.5℃で昇華し,液体とならず気体となるだけで低温が得られるので,冷却剤として用いられる。単位重量当りの気化熱が大きく,氷と異なりぬれないのが特徴である。実験室ではエーテル,メチルアルコールなどの中に砕いて投入して冷却体とし,-80℃くらいまで容易に冷却することができる。
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世界大百科事典内のドライアイスの言及
【昇華】より
…したがって昇華現象を利用すると,物質をぬらすことなく冷却できる(これを無湿冷却という)。常温常圧下で昇華するものとしては,ショウノウ,ヨウ素,二酸化炭素(ドライアイス)などがある。ドライアイスは無湿冷却で,約-80℃の低温が得られ,各種の方面で利用されており,演劇の舞台などで霧や雲を作るのにも用いられる。…
※「ドライアイス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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