トリボニアヌス(読み)とりぼにあぬす(英語表記)Tribonianus

精選版 日本国語大辞典 「トリボニアヌス」の意味・読み・例文・類語

トリボニアヌス

(Tribonianus) 東ローマ帝国法律家ローマ法を学び、ユスティニアヌス一世の法制長官として「ローマ法大全」の編纂事業を指導した。五四二年頃没。

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デジタル大辞泉 「トリボニアヌス」の意味・読み・例文・類語

トリボニアヌス(Tribonianus)

[?~545ころ]東ローマ帝国の法学者。ユスティニアヌス1世の命を受け、「ローマ法大全ユスティニアヌス法典)」を編纂へんさん

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「トリボニアヌス」の解説

トリボニアヌス
Tribonianus

500以前~542頃

ユスティニアヌス1世の命で『ローマ法大全』の編纂に参画した,異教徒ではあるが学識の深い法律家。ニカの反乱のとき一時失脚したが,529年から532年にかけて宮廷法務官として帝国の法律を扱う最高の地位にあった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリボニアヌス」の意味・わかりやすい解説

トリボニアヌス
Tribonianus

[生]? パンフィリア
[没]545
ビザンチンの法学者。ユスチニアヌス1世 (在位 527~565) に法律顧問として仕え,10人委員会および 16人委員会で指導的役割を果し『ローマ法大全』を編集。 532年のニカの乱にからんで法制長官を一時解職されたが,2年後復帰。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリボニアヌス」の意味・わかりやすい解説

トリボニアヌス
とりぼにあぬす
Tribonianus
(?―542/545)

古代ローマの法学者。ユスティニアヌス帝の高官としてローマ法大全の編纂(へんさん)に指導的な役割を演じた。おそらく小アジア、パンフィリアのシデの生まれ。弁護士として出発し、ユスティニアヌスの宮内庁長官、法制長官となる。非常に有能、博学であった。532年、法制長官のときニカの反乱が起こり、民衆に譲歩したため一時罷免された。

[弓削 達]

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旺文社世界史事典 三訂版 「トリボニアヌス」の解説

トリボニアヌス
Tribonianus

?〜545ごろ
東ローマ帝国の法学者
ユスティニアヌス1世の命を受け,『ローマ法大全』の編集を主宰して勅法集・会典・法学要綱などを完成した。

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世界大百科事典(旧版)内のトリボニアヌスの言及

【学説彙纂】より

…ラテン語でディゲスタDigesta,ドイツ語ではパンデクテンという。帝の命によりトリボニアヌスTribonianusを中心とする編纂委員会が,法学教育ならびに裁判実務の便宜のために,古典期法学者の著作から抜粋しそれぞれの題目ごとにまとめて配列したもので,若干の公法的規定を除き,大部分は私法的内容であり,勅法彙纂Codexと並びローマ法大全の核心をなす。古典法を知る資料として最も重要であるが,委員会が利用した古典期法学者の著作の写本自体が既に伝承の過程で修正を被っていたことがありうること,および,帝が委員会に対し,法文間の矛盾を除去し,また,現行の法として必要な変更を加えることを命じている(これにより加えられた修正interpolatioを〈トリボニアヌスの修正〉という)ことに留意しなければならない。…

【ローマ法大全】より

…ビザンティン帝国(東ローマ帝国)ユスティニアヌス1世(在位527‐565)が制定発布した〈法学提要〉〈学説彙纂〉〈勅法彙纂〉および〈新勅法〉に対する総称で,ユスティニアヌス法典とよばれローマの法律および法学説が集大成されている。ビザンティン帝国における法学の復活を背景とする法学教育および裁判実務の要請に対応し,同時にローマ帝国の栄光の再興というユスティニアヌス1世自身の政治的文化的企図から,まず528年,彼は高級官僚(トリボニアヌスを含む)および若干の法学者によって構成される10名の委員会に命じて勅法の集成を行わせ,翌年完成・発布された。これは〈旧勅法彙纂〉と一般に呼ばれ,改訂されるまでの数年間効力を有したが,その内容はほとんど伝わっていない。…

※「トリボニアヌス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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