日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラフ(海底のくぼみ)」の意味・わかりやすい解説
トラフ(海底のくぼみ)
とらふ
trough
細長いが、海溝よりは幅広く浅い海底のくぼみ。舟状海盆ともよばれている。外形による名称なのでその成因、構造などにより、いろいろな様態がある。たとえば、紀伊半島沖から四国の沖合いにかけて横たわる南海トラフは、最深部でも5000メートルに満たないが、あまり深くない深発地震を伴っており、プレートの沈み込みによってできた海溝と同じ性格をもっている。海溝のごく初期の状態と考えられている。東シナ海の琉球(りゅうきゅう)列島沿いにある沖縄トラフは、幅はわずか30キロメートルであるが、最深部は2370メートルあり、長さも1000キロメートルを超える。地殻熱流量が異常に高く、拡大しつつある縁海の初期の状態と考えられている。
[安井 正]
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