トラガ(読み)とらが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラガ」の意味・わかりやすい解説

トラガ
とらが / 虎蛾

昆虫綱鱗翅(りんし)目トラガ科のガの総称、またはそのなかの1種。トラガ科Agaristidaeは、ヤガ科に近縁の比較的小さい群で、世界に約300種が知られ、おもに亜熱帯地方に多産する。とくにオーストラリアに多く、美しい大形種もみられる。日本にはわずか6種を産するだけであるが、マイコトラガMaikona jezoensisやヒメトラガAsteropetes noctuinaのような日本固有種が分布するのが注目される。

 トラガChelonomorpha japanaは、昼飛性で、5月ごろに出現して花に集まる。はねの開張50ミリメートル内外。前翅は黒色で多数の黄色紋をちりばめ、後翅地色は濃いオレンジ色であり、トラガの名はこの色彩に由来する。幼虫はユリ科のシオデを食草とする。近縁種のコトラガMimeusemia persimilisは、トラガに似ているが、前翅後角や亜外縁線部に小さな黄白紋がないので区別できる。5月ごろ出現する昼飛性のガ。両種とも日本各地に分布する。

[杉 繁郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラガ」の意味・わかりやすい解説

トラガ
Chelonomorpha japona

鱗翅目トラガ科。前翅長 28~29mm。前翅表は黒色地に黄白色の方形紋が散在する。後翅表は大部分橙黄色で黒色斑があり,外縁は黒く,先端近くに黄色斑がある。腹部背面は橙黄色と黒色の縞模様をなす。色彩が鮮かで目につきやすい。6月頃出現し,昼間活発に飛び,花に飛来する。幼虫の食草はシオデ。北海道,本州,四国,九州,朝鮮,中国に分布する。近縁種コトラガ Mimeusemia persimilisは本種よりやや小型で,前翅の黄白色紋の数も少く,後翅は先端付近の黄色斑を欠き,肩板には黄色鱗がある。本種より多く,同様に昼間活動する。北海道,本州,四国,九州,朝鮮,アムール,中国に分布する。なおトラガ科 Agaristidaeは,これらのほかに4種が日本では知られているが,いずれも夜行性である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android