改訂新版 世界大百科事典 「トチュウ」の意味・わかりやすい解説
トチュウ (杜仲)
Eucommia ulmoides Oliv.
中国大陸中部の山地に分布するトチュウ科の落葉高木で,高さ20mになる。日本でも植物園などに植えられていることがある。葉は互生し,葉柄は1.5~2.5cm,葉身は長さ6~18cm,幅3~8cmの楕円形~卵形で,縁に細かい鋸歯がある。雌雄異株。花は4月ごろ,若枝の基部に散形状に多数生じる。花被はなく,雄花は4~10本のおしべ,雌花は1本のめしべからなる。果実は1個の種子の周囲を翼でかこまれた長さ3~3.5cmの扁平,楕円形の翼果。葉や樹皮に2~7%のグッタペルカを含み,これらの部分を引き裂くとゴム質の糸を引く。ただし含有量が少ないのでグッタペルカの経済的採取はなりたたない。樹皮を乾燥したものを杜仲といい,強壮剤,関節炎,リウマチの鎮痛薬とし,このため中国では栽培されている。
トチュウ科Eucommiaceaeはトチュウ1種だけからなり,分類学上ニレ科に近縁であると考えられる。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報