日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥトメス(4世)」の意味・わかりやすい解説
トゥトメス(4世)
とぅとめす
Thutmose Ⅳ
生没年不詳。古代エジプト第18王朝の8代目の王(在位前1413~前1405)。アメンヘテプ2世の子。ギザ(ギゼー)の大スフィンクスから王位を授かったと自ら称する王。王子のころギザで狩猟し、首だけ出している大スフィンクスの影で午睡したところ、大スフィンクスが夢に現れ、「砂を除け。さすれば王位を授ける」と告げた。王子はそれを実行し、お告げどおり王位についた。いまも原位置にある大スフィンクス碑板はこのように述べている。この王はアジアの大国ミタンニと最初の友好条約を結び、同国の王女ムテムイアを自らの正妃として迎え、友好関係を堅固なものとした。エジプト王が外国の王女を側室として迎えるのはよくみられるが、正妃とするのは異例である。
[酒井傳六]