デュボア(英語表記)Eugène Dubois

精選版 日本国語大辞典 「デュボア」の意味・読み・例文・類語

デュボア

[一] (Théodore Dubois テオドール━) フランスの作曲家、音楽理論家。パリ音楽院院長。著に「和声学」「対位法とフーガ教本」など。(一八三七‐一九二四
[二] (Eugène Dubois ユージェーヌ━) オランダの解剖学者、人類学者。ジャワ原人発見。(一八五八‐一九四〇

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デジタル大辞泉 「デュボア」の意味・読み・例文・類語

デュボア(Eugène Dubois)

[1858~1940]オランダの解剖学者・人類学者。軍医としておもむいたジャワ島で1891年に人類化石を発見し、1894年にピテカントロプス‐エレクトゥスと命名。

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改訂新版 世界大百科事典 「デュボア」の意味・わかりやすい解説

デュボア
Eugène Dubois
生没年:1858-1940

ジャワ原人を最初に発見したオランダの人類学者。アムステルダム大学で医学を学び,1886年に解剖学の講師となったが,進化論者E.ヘッケルの影響をうけ,類人猿と人類との移行形の化石を発見することを決意し,87年にオランダ植民地軍の軍医となってインドネシアへおもむいた。スマトラ島での2年間の探索は徒労におわったが,次のジャワ島でまずワジャク人の化石を発見し,91年にはソロ川のほとりのトリニールで,待望の頭蓋化石を発見した。脳の容積は現代人と類人猿のほぼ中間と推定されたが,付近で発見された大腿骨は現代人にひじょうに近い形態をもっていたので,直立した猿人という意味の学名(ピテカントロプス・エレクトス)を与えて94年に発表した。帰国後は,母校から名誉博士の称号を贈られて教授に就任した。今でこそデュボアの業績は人類学史上不滅のものとなっているが,原人発見当初の反響には批判的な内容のものが少なくなかったため,一時は化石を自宅の床下に秘匿したこともあったといわれる。
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デュボア
Pierre Dubois
生没年:1250ころ-1320ころ

フランスの法曹家,政論家ノルマンディに生まれる。フィリップ4世側近の法律顧問団の一員であったが,さして重要な地位を占めなかったようにみえる。1306年《聖地奪回論》を著し,十字軍遠征において,フランス国王が主導権をとるべきことを主張した。この主張は,中世ヨーロッパにおける神聖ローマ帝国の理論上の優越性を否認し,フランス・ナショナリズムの萌芽を提示したものと評価される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デュボア」の意味・わかりやすい解説

デュボア
Dubois, (Marie) Eugène François Thomas

[生]1858.1.28. アイスデン
[没]1940.12.16. デベデラエル
オランダの医学者,人類学者。ジャワ原人の発見者。アムステルダム大学で医学を学び,1886年同大学比較解剖学の講師となった。人類の祖先の発見に興味をもち,87年大学をやめ,東インド駐留のオランダ海軍に志願した。最初自力でスマトラ島で発掘を試み,次に政府の援助を得てジャワ島で発掘をし,91~92年にピテカントロプス・エレクトゥスの歯,頭蓋,大腿骨を発見した。 95年にヨーロッパに戻り,アムステルダム大学教授兼テイラー博物館長をつとめた。主著"Pithecanthropus erectus,eine menschenähnliche Übergangsform aus Java" (1874) 。

デュボア
Dubois, (François-Clément-)Théodore

[生]1837.8.24. ロズネー
[没]1924.6.11. パリ
フランスの作曲家,オルガン奏者,音楽理論家。パリ音楽院で作曲を C.トマについて学び,1861年ローマ大賞を得て卒業。イタリアから帰ってのち,聖クロチルドの合唱長を経て聖マドレーヌ聖堂のオルガン奏者。 71年パリ音楽院和声法教授,96年から9年間同院長。著書に『対位法とフーガ教本』 Traité de contrepoint et de fugue (1901) ,『和声法教本』 Traité d'harmonie (21) ,作品にはオペラバレエ音楽,オラトリオ,ミサ曲,管弦楽曲などがある。

デュボア
Dubois, Pierre

[生]1250頃.ノルマンディー,クータンス付近
[没]1320頃
フランスの法律家,政治思想家。実質上無力化した神聖ローマ皇帝に代って,フランス王権がヨーロッパ政治を指導すべきこと,そのため国内では,王は諸種の権力を集中し,特にローマ教皇のフランス内の経済特権を制限すべきことを主張し,国王フィリップ4世を擁護した。 1302,08年全国三部会代表。『聖地の回復について』 De recuperatione Terrae Sanctae (1306頃) などの著作がある。

デュボア
Dubois, Guillaume

[生]1656.9.6. ブリブラガヤルド
[没]1723.8.10. ベルサイユ
フランスの政治家枢機卿。摂政となったオルレアン公フィリップの家庭教師から摂政政治を補佐,その安定のため 1716年イギリスと同盟,さらにそれをオランダ,オーストリアを加えた対スペイン四国同盟 (1717~18) に拡大し,フランス王位継承をねらうスペインの陰謀計画を阻止した。 20年カンブレー大司教,21年枢機卿となった。

デュボア
Dubois, Louis

[生]1830. ブリュッセル
[没]1880. ブリュッセル
ベルギーの歴史画家,肖像画家。パリでトマ・クーチュールに学び,のちにギュスターブ・クールベに深く共鳴。のちベルギーに帰ってソシエテ・リーブル・デ・ボザールの創設に尽くし,1871年に機関誌の編集長を務めた。代表作『白鳥』(1858,ベルギー王立美術館)。

デュボア
Dubois, Jean-Antoine

[生]1765
[没]1848.2.17. パリ
フランスのローマ・カトリック宣教師。パリ外国宣教会に所属。 1792~1823年南インドで宣教に従事したが成功せず,パリに戻り,同会の指導者となる。『パンチャタントラ』 Pañcatantraのフランス語訳 (1826) ,インドの風俗の著作などを残した。

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百科事典マイペディア 「デュボア」の意味・わかりやすい解説

デュボア

オランダの解剖学者,人類学者。アムステルダム大学卒業後,化石人類を発掘する目的でマレー諸島駐留軍の軍医を志願。1891年―1892年にジャワのソロ川流域トリニールで頭蓋骨と大腿(だいたい)骨その他を発見,ピテカントロプス・エレクトゥスと命名。→ピテカントロプス

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世界大百科事典(旧版)内のデュボアの言及

【化石人類】より

…この人骨は,頭蓋冠が低く,眼窩上隆起が強い点で原始的であったが,頭蓋腔容積は現代人に勝るとも劣らない大きさをもっていた。1891年にジャワのトリニールで,E.デュボアが発掘した化石頭蓋は,高さがさらに低く,頭蓋腔容積も約850mlと,現代人平均の約3分の2程度であった。デュボアは,この化石こそ,サル(ピテクス)とヒト(アントロプス)のあいだをつなぐ〈失われた環〉にちがいないと考え,これにピテカントロプスの名称を与えた。…

【原人】より

…時代的には更新世前期から中期にわたる。1891‐92年に中部ジャワのトリニールで,E.デュボアにより発掘され,94年ピテカントロプス・エレクトゥスPithecanthropus erectusと命名された頭蓋と大腿骨が,最初に発見された原人化石である。その後,ほぼ同じ進化段階にある化石人類が,ドイツのハイデルベルク,中国の北京,アルジェリアのテルニフィヌTernifineで発見され,それぞれホモ・ハイデルベルゲンシス,シナントロプス・ペキネンシス,アトラントロプス・マウリタニクスと命名された。…

【トリニール】より

…インドネシアのジャワ島中部のソロ川中流沿岸の村。1891年にオランダ人のE.デュボアが,初めてピテカントロプス・エレクトゥスの頭蓋骨をこの地で発見した。出土した地層は中部洪積世のカブーKabuh層であり,その層から出土した動物化石などによる動物層はトリニール相と呼ばれる。…

【ワジャク人】より

…インドネシア,ジャワ島中部のトゥルンガグンに近いワジャク盆地で出土した化石人類。1889年B.D.ファン・リートショーテンにより第1号(成人女性のほぼ完全な頭蓋と下顎骨破片)が,翌年E.デュボアにより第2号(成人男性の破損した頭蓋とほぼ完全な下顎骨)が発見された。人工遺物はみられなかったが,伴出する動物化石からその年代は更新世後期をさかのぼることはないとされている。…

※「デュボア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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