デュシェンヌ型筋ジストロフィー(読み)デュシェンヌガタキンジストロフィー

デジタル大辞泉 の解説

デュシェンヌがた‐きんジストロフィー【デュシェンヌ型筋ジストロフィー】

X染色体上にあるジストロフィン遺伝子の異常により発症する進行性筋ジストロフィーの一つ。筋細胞の構造を保つ役割を担うジストロフィンが生成されず、筋肉崩壊と再生を繰り返しながら萎縮していく。出生男児約3500人に一人の割合で発症する。3~5歳頃に転びやすい、走れないなどの症状が現れ、10歳前後で歩行不能となることが多く、進行とともに呼吸機能の低下や心不全などの重篤な症状を示す。病名はフランスの神経学者デュシェンヌ由来DMD(Duchenne muscular dystrophy)。→ベッカー型筋ジストロフィー
[補説]筋細胞の崩壊に伴ってクレアチンキナーゼCK)の血中濃度が上昇するため、発症前の乳児期血液検査で発見されることもある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵mini の解説

デュシェンヌ型筋ジストロフィー

遺伝性・進行性の筋疾患筋ジストロフィー」の一つ。略称「DMD」。遺伝子の異常(X連鎖劣性遺伝)により発症する。デュシェンヌ型は筋ジストロフィーのうちで最も多く、基本的に男児にのみ発症し、出生男児のおよそ3000人に1人に発症する。2~5歳で発育遅延・動作困難などがみられるようになり、次第に全身の筋肉(心筋を含む)の肥大化・筋力低下が起こり、ほとんどの場合12歳までに車椅子生活となる。また患者の30%程度には主に言語能力において軽度な知能障害が見られる。2014年現在、日本における平気寿命は約28歳。治癒させることはできないが、対症療法として理学療法・薬剤投与・手術などが行われ、呼吸ケア他により延命が図られる。

(2015-8-24)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報