デメトリオス(英語表記)Dēmētrios

改訂新版 世界大百科事典 「デメトリオス」の意味・わかりやすい解説

デメトリオス(ファレロンの)
Dēmētrios

ギリシアアッティカの港ファレロンPhalēron生れの学者政治家生没年不詳。アリストテレス弟子で哲学的業績で知られる。アレクサンドロス大王東征の間のマケドニア・ギリシア総督アンティパトロス一族と親しく,アンティパトロスの子カッサンドロスにアテナイ統治をゆだねられた(前317-前307)。アンティゴノス朝デメトリオス1世のアテナイ攻略後,エジプトに逃れ,そこで死去した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デメトリオス」の意味・わかりやすい解説

デメトリオス
Dēmētrios

前4世紀初頭に活躍したギリシアの彫刻家ルキアノスは,彼の制作した肖像画コリントの将軍ペリコスの迫真写実を称賛している。アテネアクロポリスで発見された2つの銘文によって,彼の活躍期が明らかにされている。

デメトリオス
Dēmētrios

1世紀のローマ哲学者キュニコス派に属し,カリグラ帝,ネロ帝の時代に活躍,鋭い舌鋒と私生活のきびしさで知られた。ウェスパシアヌス帝に追放された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のデメトリオスの言及

【イソップ物語】より

…そして現代に至るまで種々の翻訳や改作が行われ,また類似の物語(J.deラ・フォンテーヌの《寓話》など)が生み出されて,老若を問わず親しまれている。
[ギリシア語版]
 《イソップ物語》の最初の集大成はファレロンのデメトリオスによってなされたと3世紀の伝記作者ディオゲネス・ラエルティオスは伝えている。散文体であったらしいが伝存しない。…

【図書館】より

…口頭による教授討論だけによるのではなく書字記録を活用する文化は,ギリシアでは前5世紀ごろにはじまっていたと考えられ,哲学者のうち最初の個人文庫をもったのは,アテナイに学園リュケイオンを開いたアリストテレスである。興味あることに,かつてアリストテレスに学んだことのあるアレクサンドロス大王のつくったエジプトのアレクサンドリアの町に,図書館づくりをプトレマイオス1世に進言したのは,アリストテレスの学友テオフラストスの弟子であるファレロンのデメトリオスであった。デメトリオスは,アリストテレスの文庫をモデルに,いやしくも国王の威光と名声を後世に残すには,図書館と博物館を建設するにしくはないと王に奏上したと伝えられる。…

※「デメトリオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android