テーラー・システム(英語表記)Taylor system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テーラー・システム」の意味・わかりやすい解説

テーラー・システム
Taylor system

アメリカ技師 F.W.テーラーとその協力者たちにより提唱され形成された工場生産科学的管理法。労働者の標準作業量を科学的に決定するため,時間研究動作研究を行い,この作業量を基準として賃金を決める差別出来高給制,毎日の労働者の作業を計画する計画部門の専門的設置,作業を科学的に指示する作業指図書,工具や器具などの標準化,従来の万能的な職場長に対し,機能別の職場長制度の採用,および経営者は例外的な仕事を主として担当すべきであるという例外原則の提唱などがテーラー・システムを構成している。このシステムは労働組合などからさまざまな批判がなされたが,管理を科学的に行うという考え方は,その後も多数の人々により発展させられ,現在の経営工学インダストリアル・エンジニアリング IEの基礎となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーラー・システム」の意味・わかりやすい解説

テーラー・システム
てーらーしすてむ
Taylor system

19世紀末から20世紀初頭、アメリカの能率技師F・W・テーラーが開発し普及に努めた生産の科学的管理法。従来の経験や勘による管理を排し、時間測定や動作改善によって科学的に各労働者の標準作業量(課業)を定め、それに基づいて生産を計画的に進行させる。また、これらに必要な計画部門や専門化された現場管理組織を設定し、課業の達成を刺激する賃金制度も考案した。

[森本三男]

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百科事典マイペディア 「テーラー・システム」の意味・わかりやすい解説

テーラー・システム

科学的管理法(かがくてきかんりほう)

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世界大百科事典(旧版)内のテーラー・システムの言及

【科学的管理法】より

F.W.テーラーを始祖とする工場管理の方法。狭義には,テーラーが提唱した工場労働の時間研究time studyによる標準時間と作業量の設定,職能別職長制度に,ギルブレスFrank Bunker Gilbreth(1868‐1924)が開発した作業方法の研究(動作研究motion study)による作業簡素化・標準化を加えた管理方式をいい,しばしばテーラー・システムと同義に用いられる。広義には,各種の科学的理論に基づく経営管理の方策・技術・組織制度を総称し,経験・勘にたよる管理を成行き管理として対比的に用いる。…

【経営・経営管理】より

…さらにそれは急速に進む機械化に照応して,機械の内包する可能性を十二分に引き出すことを可能にした。
[テーラー・システムの普及]
 しかもこのような労働観は,当時の社会科学の認識,とりわけ経済学における経済人の影響が強かった状況では,それほどとっぴなものではなかった。また労働各層の貨幣所得がまだ相対的に低かった段階であり,それなりの説得力をもちえた。…

【テーラー】より

…これらの経験にもとづいて彼は,作業場の能率化を図るためのいくつかの手法を編み出した。その手法は〈テーラー・システム〉と呼ばれる。内容は,労働者の一定時間内における標準仕事量を決める時間研究・動作研究,差別出来高給制度,計画部門の設置,指図票の考案,機能別職長制度,などを包摂している。…

※「テーラー・システム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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