日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーベ(古代エジプト)」の意味・わかりやすい解説
テーベ(古代エジプト)
てーべ
Thebes
古代エジプトの都市。上エジプトの今日のルクソールにあたる地域を占め、ナイルの東西両岸にまたがっていた。エジプト名はワセトWasetといい、テーベというのはギリシア人のつけた名称。東岸都市をさすタ・アペトという名称の発音が、ギリシアの都市テーベに似ているため、この名称をエジプト都市に与えたものらしい。『旧約聖書』ではノアメン(アメンの都)とよばれている。中王国時代にアメン神を奉ずる王朝の首都として登場し、新王国時代にアメン神の本山および首都として大発展を遂げ、古代オリエントの中心都市となった。東岸ではカルナック神殿とルクソール神殿が壮大な多柱ホール、塔門、彫像、オベリスクをもって築造され、西岸では諸王の葬祭殿が建てられた。いまもセティ1世、ハトシェプスト女王、ラムセス2世・3世の葬祭殿が当時の偉容をとどめている。また西岸の谷には豪華な壁画を備えた地下墳墓が造営された。1979年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[酒井傳六]
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