テリハボク(読み)てりはぼく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テリハボク」の意味・わかりやすい解説

テリハボク
てりはぼく / 照葉木
[学] Calophyllum inophyllum L.

オトギリソウ科(APG分類:テリハボク科)の常緑高木。別名ヤラボともいうが、これは沖縄の方言に由来する。高さ20メートル以上に達する。葉は堅い革質で対生し、楕円(だえん)形または長楕円形で全縁、長さ10~15センチメートル。中央脈は裏面に突出し、側脈は互いに平行、表面光沢がある。総状花序を腋生(えきせい)し、白色で径約4センチメートルの香りのある4弁花を開く。雄しべは黄色で多数ある。核果は球形で径約3センチメートル、種子が1個ある。海岸に生え、小笠原(おがさわら)、沖縄、宮古、八重山(やえやま)の各諸島、および台湾、熱帯アジア、マダガスカルポリネシアに分布する。防風林、街路樹に適する。また材は堅くて光沢があり、高級材(マホガニーの代用)とされる。樹皮染料、種子の油は外用薬とする。

[島袋敬一 2020年7月21日]

 テリハボクの仲間は、以前はオトギリソウ科であったがフクギ科を経て、APG分類ではテリハボク科Calophyllaceaeとして独立した。世界に約12属300種ほどで、熱帯と亜熱帯に分布する。

[編集部 2020年7月21日]

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改訂新版 世界大百科事典 「テリハボク」の意味・わかりやすい解説

テリハボク (照葉木)
Alexandrian laurel
Calophyllum inophyllum L.

熱帯の海岸に見られるオトギリソウ科の常緑高木。高さ20m,直径1mに達し,全体に毛がない。葉は楕円形ないし倒卵状楕円形,長さ9~18cm,先端は円く,ふち鋸歯はなく,多数の横の平行脈がある。腋生(えきせい)の総状花序は単一で7~13個の花をつける。花は白色で,花弁は4枚,径2~2.5cm,萼片も4枚,おしべは多数。果実は球形の核果で径3~4cm。小笠原,琉球諸島,台湾,その他の熱帯アジア,ポリネシアに分布する。材は硬く,耐久力があり,太平洋胡桃(くるみ)と呼ばれ,建築材(床板,柱),家具材,丸木舟などに用いる。樹皮から樹脂がとれ,種子からとれる不乾性油はヤラボ油とよばれ,薬用,灯火用とする。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テリハボク」の意味・わかりやすい解説

テリハボク
Calophyllum inophyllum; laurel wood

オトギリソウ科の常緑高木。旧世界の熱帯地方の海岸に広く分布し,果実が海水に流されて散布する。葉は対生し長さ 10~20cmの小判状楕円形で厚い革質をし,表面に光沢がある。7月頃,総状花序に径3~4cmの白色5弁のチャに似た花をつける。花には芳香がある。防風樹として植えられるほか,材は造船,建築に用いられる。日本では特に小笠原諸島で防風林となっている。沖縄ではこのテリハボクと性状のよく似た同科別属のフクギ Garcinia subellipticaが防風林とされる。

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