テナント(Charles Tennant)(読み)てなんと(英語表記)Charles Tennant

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

テナント(Charles Tennant)
てなんと
Charles Tennant
(1768―1838)

イギリスの漂白技術者。エアーシャーのオーキルトリーに生まれる。初等教育を受けたのち、製糸・漂白について修業、その後数人共同で漂白工場を創設した。当時の漂白方法は天日さらし法で、数週間から数か月を要したが、産業革命のさなかにあっては、この方法では大量の織物を仕上げるには貧弱すぎた。テナントは1789年塩素と消石灰による液体漂白剤製造法に関する特許を、1799年には乾燥した粉末漂白剤製造に関する特許を取得した。粉末漂白剤の出現は輸送の問題を解決し、大量生産も可能にした。この間、1790年にはグラスゴー近くのセントロロックスに工場を建設し、初年度に50トンの粉末漂白剤を製造し、その後1830年には年間1000トンの製造を可能にした。また1820年代に鉛室法による硫酸の製造、ルブラン法によるソーダの製造を始め、ヨーロッパ最大の化学工場にまで発展させ、イギリスの産業革命に大きく貢献した。

[雀部 晶]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android