ツバキ(椿)油(読み)つばきあぶら

改訂新版 世界大百科事典 「ツバキ(椿)油」の意味・わかりやすい解説

ツバキ(椿)油 (つばきあぶら)
tsubaki oil
camellia oil

ツバキCamellia japonica L.の種子から種皮を除き,圧搾法によって採取される淡黄色の植物性不乾性油。種子の含油率は30~40%(核は60~65%),融点-15~-21℃,比重d145=0.915~0.918,屈折率nD20=1.4676~1.4696,ケン化価188~197,ヨウ素価73~87。脂肪酸組成はオレイン酸87%,リノール酸2%,飽和酸11%。日本特産で,伊豆諸島,九州南部が著名産地。古くから髪油として用いられてきた。効用としては毛髪の毛切れ・抜毛・裂毛防止,かゆみ止め,皮膚の炎症防止など。精製したものは食用油潤滑油にも用いられる。主要脂肪酸がオレイン酸であり,オリーブ油とともにオレイン酸製造の原料となる。組成,特性はオリーブ油,サザンカ油および茶油に似ており,とくにサザンカ油は古くから日本でツバキ油と混和して同じように用いられてきた。最近ではオリーブ油が類似目的に用いられている。
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百科事典マイペディア 「ツバキ(椿)油」の意味・わかりやすい解説

ツバキ(椿)油【つばきあぶら】

ツバキの種子から得られる淡黄色の不乾性油。主成分オレイン酸。凝固点−15〜−21℃。古来髪油として賞用され,伊豆七島や九州南部に産する。食用油,潤滑油としても使用。組成・特性はオリーブ油やサザンカ油に似ている。
→関連項目不乾性油

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世界大百科事典(旧版)内のツバキ(椿)油の言及

【ツバキ(椿)】より

…材は年輪がつまり,堅くて強く,磨けば光沢がでることから建築や器具に用いられる。ツバキ油として知られる油は種子からとり,頭髪用,灯用,食用となり,機械油としても第一級のものである。ツバキは周年美しい光沢のある葉を観賞する庭園樹としても用いるほか,全国各地で防風,防潮,目隠し用の生垣などに使われている。…

【利島】より

…集落は島の北斜面中腹にあり,島の大部分はツバキ林でおおわれる。江戸時代から良質のツバキ油を生産してきたが,近年はサクユリの栽培が盛んになっている。東京から大島経由の航路が通じ,1981年には埠頭も完成したので大型船も接岸できるようになり,86年からは東海汽船の船が1日1往復就航している。…

※「ツバキ(椿)油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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