ツタ(蔦)(読み)ツタ(英語表記)Parthenocissus tricuspidata; Japanese ivy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツタ(蔦)」の意味・わかりやすい解説

ツタ(蔦)
ツタ
Parthenocissus tricuspidata; Japanese ivy

ブドウ科落葉つる性低木。日本,朝鮮半島および中国に分布し,岩壁や山林などに自生するが,人家の石垣や壁にはわせて栽植される。葉と対生して巻きひげが生じ,巻きひげの先端は円形吸盤になり他物に吸着する。葉は卵形で長い葉柄をもち,普通単葉で,しばしば3裂あるいは3出複葉など変化が多い。葉柄上部に関節があり,落葉の際にはまず葉片が落ち,次いで葉柄が落ちる。花は夏に咲き,短枝の先端に円錐状集散花序をなして黄緑色両性の小花をつける。果実は液果で径 5mmほどの球形,黒紫色に熟するが食べられない。平安時代の頃,幹からとった液を甘味料としたのでアマヅラまたはアマヅルといい,また落葉性のためナツヅタともいう。北アメリカ原産の別種アメリカヅタは葉が5小葉から成る複葉で,日本でもよく栽培される。

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百科事典マイペディア 「ツタ(蔦)」の意味・わかりやすい解説

ツタ(蔦)【ツタ】

ナツヅタとも。北海道〜九州,朝鮮半島,中国に分布するブドウ科のつる性落葉樹。庭木盆栽にされる。巻きひげの先に吸盤があって石や木にからむ。葉は柄が長く,短枝(花のつく枝)のものは広卵形で大きく3裂し,長枝のものは広卵形か3小葉。秋に紅葉して美しい。6〜7月,黄緑色の小さい5弁花が集まって咲き,秋に球形の液果が黒熟。なお,フユヅタともよばれるキヅタは,ウコギ科のつる性常緑樹。

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