チーク(英語表記)teak
Tectona grandis L.

精選版 日本国語大辞典 「チーク」の意味・読み・例文・類語

チーク

〘名〙 (teak) クマツヅラ科の落葉高木。熱帯アジアのモンスーン地域に自生し、ミャンマー、タイを中心に植林もされる。高さ二〇~四〇メートル、径二~三メートル。樹皮は縦に裂け、若枝と葉の裏には星形の短毛を生じる。葉は対生し、短柄があり、卵形または卵状長楕円形で、長さ三〇~六〇センチメートル。夏、枝先に先が五~六裂した白い小花がつく。果実は径約二センチメートルの球形。材は暗褐色を帯び軽くて堅く、木目がまっすぐで腐朽しにくく光沢も出ることから、船舶・建築の材とする。
※漫遊記程(1877)〈中井弘〉上「荷物は櫟材(チーク)、麦粉、乾魚等」

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デジタル大辞泉 「チーク」の意味・読み・例文・類語

チーク(cheek)

ほお。
《「チークカラー」の略》ほおべに
チークダンス」の略。

チーク(teak)

シソ科の落葉高木。熱帯から亜熱帯の産。材は堅いので建築材・船材とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「チーク」の意味・わかりやすい解説

チーク
teak
Tectona grandis L.

クマツヅラ科の高木で,樹高30~45m,直径80~150cmになる。樹皮は若木では灰色,老木では褐色~暗褐色で,縦に細かく筋状に割れる。葉は対生し,長さ25~50cm,幅23~35cmの大きい楕円形。花は小さな白花で,大型の円錐花序に多数がむらがり咲く。果実は径1~1.5cmの先のとがった球形で,中に1~4個の種子がある。タイ北部からミャンマーおよびインドの乾季と雨季が区別される季節風地帯に分布し,1~3月の乾季には落葉する。この地域ではしばしば純林状に生育している。木材がすぐれているので,最近では熱帯~亜熱帯各地で造林されだしたが,ジャワ島では19世紀以来オランダ東インド会社によってチーク林が育成され,今日も良好な森林がある。ジャワ島にも本来チークが自生していたとする説と,インドなどから導入されたとする説とがある。生長はあまり早くなく,造林木でも直径70~80cmになるのに80~100年を要する。

 乾季には生長が止まるので,木材には年輪が認められ,環孔材的傾向が強い。心材ははじめ暗黄褐色で,しだいに褐色~濃暗褐色に変わり,金色の光沢がある。気乾比重0.57~0.76。指でこするとやや油じみた感触がある。耐久性がきわめて高く,菌類,昆虫,海産フナムシなどにおかされにくい。また乾燥後の寸法安定性にすぐれ,狂わず,比重のわりに加工性がよく,強度がある。これらのすぐれた特性に加え,気品のある重厚な色調をもつので,世界の最高級材の一つとして定評がある。船舶用材や客車の内装用材の第1等材として名高く,そのほか建築,家具,彫刻,細工物など広い用途があるが,高価なので,今日ではごく薄くスライスした突板(つきいた)にして,表面の装飾用に用いることが多い。生育環境により材質にかなりの幅があり,ふつうタイ,ミャンマーの天然生チークが最も優良である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チーク」の意味・わかりやすい解説

チーク
ちーく
teak
[学] Tectona grandis L.f.

クマツヅラ科(APG分類:シソ科)の落葉高木。高さ25~30メートル、径約3メートルに達する。葉は短い柄があって互生し、倒卵形、全縁、長さ30~60センチメートル。6~8月、枝の先に大きな円錐(えんすい)花序をつくる。花は白色管状の小花で径8ミリメートル、先端は5裂する。果実はやや球形の核果で径2~2.5センチメートル。ホオズキに似た宿存萼(がく)に包まれ、下垂する。果内は4室に分かれ、各室に長楕円(ちょうだえん)形の種子がある。インドからマレー半島にかけての地域原産である。材は切り出した直後は黄色であるが、年月の経過とともに暗褐色となる。材質は非常に堅強で、一度乾燥した材は伸縮したり、反ったり、割れたりすることがない。耐久力に富むうえに加工しやすく、東南アジア産の有用材として、ラワンとともにもっとも利用が多い。フナクイムシシロアリの害を受けにくく、船舶用材として最良のものとされる。ほかに、家具、建築、土木、彫刻用材とされる。

 原産国はインド、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、タイであるが天然のチーク林は減少している。ミャンマー以外の国では天然林の伐採や丸太の輸出を禁止している。アフリカ、中南米、アジアで人工造林が行われており、世界全体のチーク材の40%近くはインドで生産される。成長は遅く、100年くらいで成樹となるが、5~7年ごとに間伐をし、80~100年で皆伐する。山地からの搬出はゾウを使って行い、川岸に集め、雨期に筏(いかだ)を組んで集積地に集められ輸出される。

[星川清親 2021年9月17日]

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リフォーム用語集 「チーク」の解説

チーク

クマツヅラ科チーク属の落葉広葉樹。英語表記では「Teak」。マイサック、チューン(キューン)、ジャティ(ジャチ)、テック、柚木・油木、チークノキといった呼び名がある。材の性質としては木理が交錯しており、肌目は少し粗い。堅く、磨耗耐久性もあり、特にシロアリなどの虫害に対する耐性、耐水性、といった腐食耐久性に優れる。乾燥過程で割れや反りが出にくい。板に製材した直後は材面があまり綺麗ではないが、年月が経つとロウ状の成分が材面に染み出て色の深みが増し、いわゆる「チーク色」の落ち着いた色合いとなる。現在は貴重な材となり、自然保護のため伐採禁止になっている所が多く、輸入が大変厳しい。世界最高級材のひとつで、マホガニー、ウォルナットとともに世界の三大名木と言われる。主に家具に用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チーク」の意味・わかりやすい解説

チーク
Tectona grandis; teak

クマツヅラ科の落葉大高木。インドからマレーシア,スマトラ,ジャワなどアジアの熱帯雨林に生育する。高さ 20~40m,幹の直径2~3mに達する。樹皮は淡褐色で薄くはげる。葉は対生し,卵状楕円形,全縁で長さ 80cm内外。枝先に大型の円錐花序をなして,白色の小花をまばらにつける。花は筒状で先端部が5裂し径 8mmぐらい。果実は球形の核果で,ホオズキのような宿存萼に包まれる。辺材は白色で弱いが,心材は暗褐色で,伸縮,反張,割裂がほとんど起らず,耐久力,耐火性が強いので,建築材,橋,車両,家具,器具などの材料として広く用いられる。特に船舶用材としては最良材とされ,ラワン材とともに東南アジア産の材のなかで最も重要である。

チーク
Cheke, Sir John

[生]1514.6.16. ケンブリッジ
[没]1557.9.13. ロンドン
イギリスの人文主義者,ギリシア語学者。ケンブリッジ大学に学び,1540~51年同大学ギリシア語教授。 42~47年エドワード王子 (のちのエドワード6世) の師傅をつとめ,52年ナイトに叙せられた。 53年には国務大臣。多数のギリシア古典のラテン語訳のほか,英語による著作でイギリス散文の発達に寄与した。

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百科事典マイペディア 「チーク」の意味・わかりやすい解説

チーク

インド〜東南アジアに野生するクマツヅラ科の落葉高木。最高級材のひとつ。高さ30〜45m,直径2〜3mに達する。葉は卵形で対生し,白色で小型の筒状花をつける。果実は球形で4室に分かれる。材は伐採時は暗黄褐色で,やがて暗褐色となり,光沢がある。堅く,狂いが少なく,船舶,車両,建材,家具材などに重用される。
→関連項目唐木(外材)

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世界大百科事典(旧版)内のチークの言及

【外材】より

…したがってラワンという名は南洋材の代名詞のようになってしまっている。南洋材(唐木類を除く)が,微々たるものではあるが日本に輸入されるようになったのは1890年代で,その後,日清・日露両戦争が終わり,造船ブームがおき,船の甲板に用いるためにチークが輸入されるようになってからである。ちなみに1912年のその輸入量は8000m3弱であった。…

※「チーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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