チリ地震(読み)チリじしん

精選版 日本国語大辞典 「チリ地震」の意味・読み・例文・類語

チリ‐じしん ‥ヂシン【チリ地震】

一九六〇年五月二二日チリ南部沖合で起きた二〇世紀最大の地震マグニチュード八・五(モーメント・マグニチュード九・五)。この地震に伴った津波太平洋をこえてハワイ日本にも達し、日本では死者・行方不明者一三九人を出した。

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デジタル大辞泉 「チリ地震」の意味・読み・例文・類語

チリ‐じしん〔‐ヂシン〕【チリ地震】

1960年5月22日(日本時間では23日)、チリ中南部の太平洋岸沖で発生した観測史上最大の地震。マグニチュードは9.5。大津波が発生し太平洋諸地域に被害を及ぼした。日本には最高6メートルの津波が押し寄せ、三陸沿岸を中心に死者・行方不明者142人を出す被害をもたらした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震
ちりじしん

南アメリカ、チリでおこる地震。チリ、ペルー沖には、マグニチュード(M)8~9の巨大地震が高い頻度で発生する。これらの地震の特徴は、本震が大きいこと、大きい前震を伴う場合があること、大津波の発生を伴うことで、大津波は震源域ばかりでなく太平洋諸地域に大被害を及ぼす。こうした津波は日本の約7時間前にハワイを通過するので、ハワイ島での観測によって津波の来襲を予測することができる。おもな地震としては、1906年のバルパライソ地震(M8.2)、1922年のアタカマ地震(M8.5)、1960年のチリ地震(M9.5)などがある。このうち1960年のチリ地震は観測史上最大の地震で、津波が太平洋を越えて日本まで押し寄せ、三陸地方では死者・行方不明139人を出した。チリには津波を伴わない大地震もあり、1939年チリ内陸部のチラン地震(M7.8)では死者3万人、そのほか1970年のペルー沖のアンカシュ地震(M7.9)では氷河雪崩(なだれ)による土石流によって数万人の死者を出している。

[脇田 宏]

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改訂新版 世界大百科事典 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震 (チリじしん)

1960年5月22日15時11分(現地時間),チリ南部沖合に起こったモーメント・マグニチュード9.5の今世紀最大の地震。震央はバルディビア市沖の西経74.5°,南緯39.5°であるが,地殻変動は南緯37°から46°まで1000kmにわたって生じ,グアムブリン島(ソコロ島)では5.7mの隆起海岸沿いの内陸部では3mに近い沈下がみられた。余震域も南北に1000km近くに達し,また本震の震央付近では活発な前震活動が前日から始まった。この地震の原因はナスカ・プレートと南アメリカ・プレートの境界面におけるナスカ・プレートのもぐり込みに伴う逆断層運動とみられ,断層のずれは20mをこえたものと推定されている。チリにおいては地震動と津波により約2000人の死者が出たが,津波は全太平洋に波及し,各地に被害をもたらした。日本では日本時間24日2時ごろから5時ごろにかけて太平洋岸の各地にチリ地震津波の第1波が到着し,三陸沿岸で5~6mに達したほか,志摩半島などでも高く,死者119人,行方不明20人,家屋全壊流失2830,半壊2183の被害がでた。南アメリカ沖の巨大地震による津波が日本を襲った例は過去に数回ある。この場合にはハワイも被害を受けているので,日本はハワイと連絡を密にとることにより,津波の到着の6時間前にその大きさを知ることができる。1960年チリ地震は以前から理論的に予測されていた地球の自由振動が初めて観測された点でも画期的であった。
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百科事典マイペディア 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震【チリじしん】

1960年5月22日(現地時間),チリ南部沖合で発生したマグニチュード9.5の地震。チリでは地震動と津波で約2000人の死者がでた。津波は全太平洋に波及して各地に被害をもたらした。日本へは24日(日本時間)午後に第1波が太平洋岸各地に到着し,三陸沿岸では高さ5〜6mに達した。日本ではチリ地震津波として知られ,死者・行方不明者142人,家屋全壊1500余戸の被害がでた。この地震によって,理論的に予測されていた地球の自由振動が初めて観測された。また,チリ地震津波を契機に,太平洋津波警報組織国際調整グループが設立され,現在は26の国・地域が加盟,ハワイに太平洋津波警報センターがある。
→関連項目スマトラ沖地震

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チリ地震」の意味・わかりやすい解説

チリ地震
チリじしん
Chile earthquake

1960年5月22日午後7時11分,南アメリカのチリで起こった大地震。マグニチュードM)は 9.5で,前震として M7以上の地震が 2回あった。余震域はチリ海岸沿いに幅 200km,長さ 800kmに及んでおり,史上最大級の地震といわれる。チリではこの地震と津波で 5700人の死者を出したが,被害は太平洋全域に波及し,近くの海岸には高さ 10m以上の津波が襲い,ハワイのヒロでも 61人の死者を出した。太平洋を隔てた日本でも,外地の地震としては初めての津波警報が発せられ,約 1日たって三陸沿岸などに高さ約 6mの津波が来襲,死者・行方不明者 142人のほか,家屋の全壊 1500余戸などの被害を出した。この地震によって初めて,地球の自由振動が明瞭に観測された。

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世界大百科事典(旧版)内のチリ地震の言及

【地震】より

…1982年までに起こった世界の巨大地震を7位まで挙げると,次のように1950年代~60年代に集中している。(1)1960年チリ地震(M9.5),(2)1964年アラスカ地震(M9.2),(3)1957年アリューシャン地震(M9.1),(4)1952年カムチャツカ地震(M9.0),(5)1906年エクアドル地震(M8.8),(6)1965年アリューシャン地震(M8.7),(7)1950年アッサム地震(M8.6)。これらのうち(3)(4)(6)は災害面からはそれほど著しいものではない。…

※「チリ地震」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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